下海つかみ取り願う中国人
 中国では「下海」という言葉が流行っています。海に飛び込むという意味ではなく、飛躍する中国ビジネスの世界に飛び込んだという意味です。
 2001年に、北京オリンピック開催地が北京に決定した時、北京の天安門広場に集まった当時の共産党指導者達と40万人を超す市民は、これで経済発展に拍車がかかり、お金持ちになるチャンス、つまり「下海」ができると大喜びしました。
 実際、オリンピック開催決定以後、国内では「下海」を当て込んで、人の移動が激しくなりました。
 現在の中国の出稼ぎ労働者は約9900万人で昨年に比べ500万人増加していています。
 レストランでは14歳くらいの若い女の子たちが寮生活をおくりながら働いています。建設現場では機械を使わずに16歳くらいの男の子たちが、手作業で大人数がで物を運んでいます。
 金融引き締めのため静まりかえっていた建設が、また速やかに開始されました。
 これが、北京となると、オリンピック開催の垂れ幕が下がり、建設ラッシュと道路の整備で、いたるところほこりだらけのありさま。
 北京市のマンションも毎年2割ずつ上昇しているなど、オリンピック特需に沸いている様子が見て取れます。
 中国オリンピック準備委員会は)北京オリンピックの経済効果は会場建設などで300億円、大気汚染対策などに約3000億円など合計約40兆円と試算しました。
 これでは国民も「下海」に踊るのも無理はないというものですが、関係者の中には、「経済成長も北京オリンピックまで。その後は景気も急激に落ち込むのでは」と、過去のオリンピック開催地の例を引いて今後を危ぶむ人もいます。
 何でも出稼ぎ労働者に居座られないよう北京では、マンションも北京市民に優先的に購入できる制度になっているのだそうです。
 それでも今の中国にチャイニーズドリームを夢見ている人がたくさんいるのも事実です。アテネオリンピックで110メートルハードルの金メダルを取ったかっこいい劉翔選手は、現在CMなど20社以上の出演の契約中です。出演料は一件あたり3000万円。
 北京オリンピックで中国は金メダルを獲得世界一になるでしょう。
 自分はどんなチャンスとめぐり合うのかと国民の期待は膨らむばかりですが、果たしてどれだけの人が「下海」をつかみ取るのでしょうか。