退職金でマンション購入
 私の周りの50代~60代の男性は、いつも自信に満ち溢れている。私と同年代の頼りない最近の若い優柔不断な男性とは違う。
 それでも一つだけ不安なことがあるという。それは、「定年」を迎え現役でなくなるということ。そして自由に使えるお金が少なくなるということだ。
 武本電工の発電所研究員の川元義彦さん(55歳・仮名)の場合は、早期退職金の条件で退社を決意した。
 「2年間の出向で今の会社に来ていたからいつか親会社に戻れると思っていた。だけど、今退社すれば約3100万円を手にすることができる。どうせいつかは皆会社を辞めるのだから、今からほかの一生できる仕事を探そう」
 通常の規定だと、約2700万円しかもらえないが、約400万円上乗せされたという。本社にいればもっと優遇されるはずだが、子会社に何度か出向させられるなど、事実上リストラにあっている川元さんが、これでも踏ん切りをつけるるには十分だった。
 その背中を妻がさらに押した。
 「いいかげん社宅から出たい」と毎日のように不満をもらされていたのだ。
 「退職金でマンションを購入しました。湾岸に完成予定の3400万円の物件。夜景がきれいだから、社宅と違ってエンターティメント的な贅沢な感じがいい」
 会社一筋で一生懸命働いてきた川元さんの資産運用は貯金が主流。貯金は1000万円ほどあった。それから300万円を使ってマンションをローンなしで買った。
 仕事ばかりしていたから当然、有給休暇も残っていた。イタリアパッケージツアー(14万5000円)に大学時代以来の一人旅をした。
 戻ってきたかと思うと、ちょっと冒険の気分でインドの投資信託にも100万円投資した。
 「サラリーマン時代の生活はワンパターンだったから、今までできなかったさまざまな初体験をしてみたいという。
 しかし、一生できる仕事といっても、そう容易に再就職先は見つからなかった。
 そこで、これまでの技術と経験を生かしてコンサルタントを始めようと考えた。300万円を出資すればD研究所という小規模のコンサルタント会社の取締役に迎えてくれるという話に乗ることにしたのだ。
 「前の会社にしがみついていたら年収は750万円だから今後5年働けば3750万円。今は小さい会社だけどお金をだしてるから大きな顔できるし居心地がいい。年収は500万円もないけど一生社宅に住むよりも今のほうがいい」
 貯金は大幅に減ったが、子供たちも手を離れているから、そう不安はないという。
こづかい帳
 そんな川本さんのお小遣いは、4万円から3万6000円にカットされた。
 それでも唯一の楽しみは、デジカメで写真を撮ることという。仲間と撮った写真をCD-ROMに入れて交換する。
 「勤めていた今までは赤坂にあったからランチ代は800円ほどで2万円以上も使っていたが、今の会社は三田の学生街だから食事が安い。ランチは600円でおいしいですよ」。
ランチを節約して夜景のきれいなマンションライフで第2の人生を楽しんで欲しい。

3万6000円のお小遣
川元義彦さん
 
     
    3万6000円
デジカメ現像料    500円  
ランチ代(600円X25) 1万5000円  
飲み代3回分 1万8600円  
夜食うどん300円X2     600円  
雑誌(月刊アスキー)     890円  
キオスク お茶140円x5     700円  
     
  3万6290円  
  ▲290円