子どもの結婚費用
 「先日、娘の結婚式でね。新居の引越なんかも含めて200万円も出してあげたよ」
 甘すぎる親。私が結婚式あげても親は出してくれないですよ、と非難しようとしてもムダだった。
 「娘はまだ24歳なんだ。貯金なんかあるわけない」と、言い放つ完全な親バカだ。
 K飲料メーカー勤務の部長、山下武雄さん(53歳)は、バブル時代に夜遅くまで仕事ばかりしていたから、子どもが小さい時に面倒見て上げられなかったそうだ。それがいつまでも負い目になっているという。せめて時間ができた今、もっとかわいがってあげたいという。
 「実は娘はデキチャッタ結婚なんだ。だから早く結婚式を挙げさせてあげたかったんだよ。どうせ赤ちゃんも育てられないからしばらくうちの家に住むことになると思う」
 驚いている私をよそに山下さんは続ける。
 「自宅を改造してもうひと部屋作ったんだけど500万円も費用がかかった。でも娘も一緒に住んでくれるなら安いものだよ。もっと子どもが大きくなったら本格的に二世帯住宅に改造しなきゃいけないなあ」
 山下さんは、約1300万円の年金がもらえる予定。その全てを二世帯住宅への改造費用に当てるという。それもすべて娘とべたべたしたいためだそうだ。
 「いや。だって娘のだんなも24歳で、貯金がないどころか、車のローンが100万円残っているとか、友達と遊びに行ってお金ないとかいっているし。とにかく頼りないんだよ」
 50歳の妻は5年ほど前から仕事を始め、週末には仕事仲間とゴルフや旅行と外出ばかり。人生こんなに楽しい時期はないと外に出かけることに夢中になっている。
 「妻は、『そこまでしなくていいのに』といっているが、今までほったらかしにしていたから、これからは俺が娘たちの面倒はみる」
 山下さんのやさしさが娘さんを甘やかしすぎなければいいが。
 
お小遣いは4万2000円
 会社の近くに食堂がないからランチは出前ばかり。いつもそばとラーメンを交互に食べている。
 「一人前の場合は、1000円以上じゃないと出前してくれないからついつい使ってしまう」。
 ラーメンにギョーザを追加して1050円分、そばにミニ親子丼でも1050円。それだけで一ヶ月2万6250円になる。ランチ代がかかるから夜はスタンドバーしかない。なかなかお洒落なイギリスバーだという。300円均一の小皿3皿と焼酎2杯で1500円は安い。それにタバコの煙を吸収する空気清浄機がガンガン効いているから、親父臭くないんだ。
 臭いに気遣うのも、娘に嫌われないためだろうか。やけに時代遅れの香水の臭いが悲しく漂っていた。
山下さんのこづかい帳

  月額     42000
ランチ代 1050円X25日分   26250
  飲み代 1500円X8日分   12000
競馬 5000円   5000
  小計     43250
収支     1250