男子初の金メダルの値段は600万円
 「金メダルの奇跡は何世代の人々の努力の結果だ」中国オリンピック委員会の劉鵬会長は、男子スキー競技で初めて金メダルを獲得した韓暁鵬(ハン・シャオパン)選手をたたえました。
 ショートトラック女子五百メートルで優勝した王濛(ワンメン)選手に次いで二番目、男子選手では初めての金メダルとなりました。フリースタイルスキー男子エアリアルで1983年生まれの韓暁鵬(ハン・シャオパン)選手は、実はもともとは体操選手でした。
 172センチ、69キロの韓暁鵬は、11年前の95年にエアリアルに転向し、その成績は決して思わしくありませんでした。ワールドカップ(W杯)では2位が最高、02年ソルトレークシティー五輪では24位、05年の世界選手権は20位という実力です。
 ゆっくりと転身し着実に成績をあげた人生のステップと同じように、競技自体もジャンプの技よりも緩やかな着地の成功がたたえられ、金メダル獲得につながったのです。
 長野オリンピックで銅メダルの2位のドミトリー・ダシンスキー選手(ベラルーシ)や3位のウラジーミル・レベデフ選手(ロシア)は、韓暁鵬の予想外の成績にショックを隠せず頭を抱え込む場面もありました。
 カナダのウィルソンコーチとトムソンコーチが04年から中国チームの指導者に就任したことも背中を押してくれました。
 金メダルを獲得した選手には国から約280万円、そして省からも約280万円がもらえたそうです。
 国が体格のいい子どもを探し五輪選手にさせるためだけに一貫してスポーツだけをさせるといったただがむしゃらに一生懸命訓練させることよりも、外国人のコーチは楽しみながらスポーツをすることが大事だと教えたことが選手にもプラスになりました。
 これからは国が選手を確保しコントロールするのではなく自らがスポーツをしたいと思う人が増えるかもしれません。
 中国では、天候に恵まれていないためウインタースポーツはまだ流行っていません。トリノオリンピックを知らない人も多いほどなのです。
 しかし、日本のスキー場では中国人団体客がスキーやスノーボーをする客であふれかえっていました。わざわざ中国からインストラクターも同行しているのです。
 また、日本のスキー場経営者は次々に中国に進出し、中国のウインタースポーツへの市場に展開を狙っています。
 この金メダルの獲得後、韓暁鵬選手だけでなく、その他の中国人選手である予選6位の邸森選手、18位の劉忠慶選手と23位の欧暁涛選手への期待とともに、中国ではエアリアル競技への参加者が増えることが見込まれています。