中国人のライバルは中国人
 スピードスケート女子五百メートル、岡崎朋美選手は合計タイム1分16秒92で4位とメダルを逃しました。優勝はロシアのスベトラーナ・ジュロワ選手でしたが、銀メダルと銅メダルは、両方ともウインタースポーツが充実しているとは言いがたい、中国の選手が獲得しました。
 ところが、銀メダルを獲得したホープの王曼麗(ワンマンリ)選手は、「きょうはうまく滑れなかった」と、喜びの笑顔はなく悔し涙を流し続けているのです。
 それもそのはずです。王曼麗選手の過去の成績はダントツの一位ばかり。0四年は世界ショートトラックスケート選手権女子五百メートルで一位、0四年世界ショートトラックスケート単一種目選手権女子五百メートルで一位、0五年ショートトラックスケート・ワールドカップソルトレークシティーサーキット女子五百メートル一位。0五年ショートトラックスケート・ワールドカップイタリアサーキット女子五百メートルで一位、すべて一位で優勝しているのです。
 黒竜江省に生まれた王曼麗選手は1973年生まれの三十代前半、勝負のときです。優勝したロシアの選手との差はたった0.13秒でした。
 王曼麗選手はインナー・リンクで追いつき四百メートルのあたりではほぼ互角で戦っていました。ラストでふと気を抜いた瞬間に王曼麗選手は追い越されて二位でゴールインしたのです。
 最悪なことにオリンピック開幕の一カ月前に負傷してしまい、コンデションはイマイチでした。それでも選手にとって体の管理をうまくできていないことは自己管理ができていないといった精神面でも管理能力を問われるのです。また、同じようにコーチの責任も問われます。
 「(成績が不振だったのは)怪我が影響したわけではなく、原因は複雑で言葉に言い表せない」と涙を浮かべたコメントから隠れた中国のシステムもうかがえます。
 一方、国際大会が初めの新人の任慧(レンフイ)選手は、ラッキーにも銅メダルを獲得しています。ちなみにこの種目の日本記録を持つ大菅小百合選手は8位、吉井小百合選手は9位、渡辺ゆかり選手は15位でした。 悔し涙を流した金メダルへの執着する中国人選手、期待されてなかった初舞台での銀メダルの喜びを素直に表現している中国人選手たち。ライバルはもはや世界ではなく、中国人選手との争いになるのかもしれません。