これからはBRICs
 まさに人種の坩堝ともいえる世界14カ国の人と働いていたとき、その国の経済の成長が、その人の勢いに比例していると感じたことが多々ありました。
 香港に在住中、ちょうど経済が成長しているときでした。「海外に留学したいとか」「株を買いたい」とか一人一人のパワーにも勢いがありました。そして1997年、中国に返還されると同時にその勢いは中国に移ってしまったのです。私も1995年、中国で建設ラッシュや13億人の経済の勢いや競争心の強さ、みんなが上を向いている勢いに圧倒されるかのように肌で感じたものです。
 最近では、その勢いはブラジル、ロシア、インド、中国の4か国の頭文字をとったBRICsに集中しているのではないでしょうか。
 2050年には、現在の先進国の6か国が入れ代わり、中国、アメリカ、インド、日本、ブラジル、ロシアの順になるといわれています。4カ国の株式市場の特徴は、上位5~6社が全体の時価総額の半分以上を占めているということです。
 最近、私が講談社から発売した「株で勝つ合言葉はBRICs」にも書いてありますが、インド人は小学生から計算が強く理論的な人が多いため、香港や中国、シンガポールと私が住んでいたあらゆる国で両替屋に勤務している人が多かったのですが、今や世界を牛耳るIT企業といっても過言でないくらい活躍しています。
 私の同期の客室乗務員のインド人は22歳で先輩のインド人は25歳でした。先輩に絶対服従の航空業界にいながら、カースト制度のため階級の高い22歳のお嬢様は、当然のように25歳の先輩に長い髪の毛をとかせたり、パシリのごとく扱っていたのです。いたって平均的な家庭に育った日本人の私はそんな階級を始めて目にして驚きました。まるでメイドのようでした。25歳のインド人は「香港の物価は高すぎる」といいながら香港の10ドルショップで安いピアスや偽物の香水を買い物していました。屈することを当たり前と思っているのか文句一つ言わずに年下の長くて美しいストレートな髪に椿油のようなべとっとした油をつけていたのを思い出します。
 そんなインド人との出会いを思い出しながら発売当初に購入したインドの投資信託はかなり上昇しています。原油高にともない、インド人の勢いはこれから本格化するでしょう。