テニスが流行しない理由
 「私バドミントンもテニスもやったことない」30代後半の中国人女性がそういいました。
 北京の体育大学に訪問してもテニスコートはあるものの誰も練習していません。
 街角ではバスケットボールのコートはどんどん設立されていますが、テニスコートは未だ見たことがありません。
 一般的にいきなり硬式テニスを始める人は少なく、小学生でバドミントンを経験して中学生で軟式テニス、そして高校生で硬式テニスと段階的に重いテニスボールを扱うことができるようになります。私の場合もそうでした。子どもの頃から近所の友人や母親たちと一緒にバドミントンをしたものです。
 ところが中国ではバドミントンをしている姿もみられません。中国は、春から秋にかけては風が強く冬は氷点下になる寒さです。冬から春にかけては、黄沙も吹いてくるため外でバドミントンをする気分になれないのです。天候も味方してくれません。
 そのためか、北京のあちこちの体育館をのぞいてもバドミントン、テニスをしている人はいませんでした。
 国際テニスセンター以外には、北京にある主なテニスコートは2つですが、設備も値段も日本とほとんど同じですから、中国で広まるはずがありません。3時間借りると約300元(3900円)、月収の4分の1もします。
 ところがプライベートのテニスクラブをのぞいてみると、日本人をはじめ7割が外国人で占めていますが、流暢な英会話でプレーしている中学生の中国人たちの姿も増えています。
 まさに英才教育です。専属の外国人のコーチを雇いトレーニングしています。指導者不足が大きな課題で、上海では日本人のコーチも教えているようです。180センチもある体格のいい子供たちに先行投資されているのです。
 デパート、スポーツ売り場でのテニス用品の品揃えは粗末なものです。体育大学の前のスポーツ店に行くと直輸入された約1万円ほどのダンロップ、ウイルソン、プリンス、フィッシャー、フォルクル、プリンス・ロックス・プライムなどのメーカーのラケットが埃がかぶって並べられていました。
 しかし中には3000円前後で売られている安いラケットもありました。
 値段の安い偽者ブランドの普及とともにテニスが庶民に手に届くスポーツになるまでは時間がかかりそうです。

中国のテニスボール