閑散としている体育大学で卓球台だけは最新のもの
北京オリンピックに向けて急激に経済が成長している中国、そして、その勢いはスポーツ選手たち、そしてそれを目指している学生にも及んでいる・・・
だろうと、私は北京の体育専門の大学を訪問してみました。
ところが、北京の秋葉原、中関村のある海淀区の「北京体育大学」、「首都体育学院」など訪れると、午後3時ごろだというのに体育館の中に選手らしき人は誰もいません。
古びた売店には、誇りがどっさりとかぶっている、30元(=約550円)の流行遅れの鮫色をしたユニホームが、マネキンに着られてただ置き去りにされているだけでした。
売店の店員は2人もいるのに、「いらっしゃいませ」と声をかけないどころか、座ったまま本を読んでいるのです。私が話しかけるとちょっと顔をあげて見上 げたものの、すぐにまた読書に戻ってしまいました。無関心な人たちは、ただ公務だからといるだけのようです。
大学の門の前にはがっちりとした体格のいい監視員が立っていましたが、「トイレを借りたい」といってお願いすると、私たち3人とも何も聞かずに中に入れてくれました。
トイレを借りた後、ついでに体育館の中を一周してみると、競技ごとにそれぞれの部屋がありましたが、その部屋は狭く2人で1チーム練習するほどのスペースでした。
どこの部屋もそんなにすごい設備ではなかったのですが、卓球の部屋だけは特別に違いました。卓球台はみたこともない最新の設備で、計算されて自動的に出てくるボールは角度などまで詳細に追求している様子が想像できました。
廊下には、有名な選手たちの写真が輝くようにずっと並べられていましたが、肝心な大学の学生たちは校庭でバスケットをしたり寮でゆっくりしていました。北京オリンピックの熱烈な勢いは感じられませんでした。
就職先のない卒業生
「この大学の悩みは、卒業後、学生たちの就職先が見つからないこと」先生がこっそりと教えてくれました。
スポーツジムやスポーツ店、スポーツメーカーの数は、日本の数十分の1です。スポーツ市場は1兆円、アメリカの15分の1です。得意のスポーツ関連の仕事につけない卒業生は、普通科目もあまり勉強してきませんでした。
スポーツ市場の拡大とともに卒業生たちの就職先も増えるといいですね。
体育大学を訪問
最新の卓球台