イギリスの年金改革
いつも私を優しく救ってくれたのはイギリス人でした
 私にとってイギリス人の男性はいつも神様のような存在でした。なぜか、いつもピンチのときに現れるのがイギリス人だったのです。例えば豪州のホームステイ先の家族とけんかして家出したとき、助けてくれたのがイギリス人でした。また、初めてのOL生活で失恋したあげく、クビになって落ち込んでいるときに「君はフライトアテンダントに向いているよ」と、英語の先生として、合格まで導いてくれたのもイギリス人でした。
 私を優しく救ってくれた2人のイギリス人の男性は、とても紳士でかっこよかったけど、歳は60歳以上で、当時の私にとってはお年寄りの部類でした(笑)。だから私にとってイギリス人のイメージは神様のような存在、だけどお年寄りなのです。
 ところがイギリス人の平均寿命は男性76歳、女性81歳。世界一長いといわれている日本人の平均寿命の男性78 歳、女性85歳と比べると短く、世界ランキング10位にも入っていませんでした(WHO「The World Health Report 2005」による)。
イギリスの年金改革は少しずつ成果がでています
 イギリスの年金制度は、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、日本と同じ2階建ての構造です。1階部分は基礎年金、2階部分は付加年金である報酬比例の国家第二年金となっています。そして日本同様に、年金を受け取る年齢が段階的に引き上げられます。現在は男性が65歳から、女性が60歳からとなっていますが、2010年から10 年間かけて、女性が年金の受け取りを開始する年齢を65歳に引き上げることが決まっています。
 自営業者等に2階部分の所得比例の公的年金が適用されないのも日本と同じです。2階建て制度があるほとんどの国では、自営業者等が2階部分の公的所得比例年金に加入できるのに、日本とイギリスだけが加入できません。
 ところが、GDPに占める公的年金支出(加入者が支払った分でまかなえない場合、国が負担する)の割合が、1995年時点で、日本では11%も占めていたのにイギリスはたった4.5%でした。現在でも10%以上を負担しているヨーロッパ諸国に比べイギリスは5.2%です。
 サッチャー政権やブレア政権が、私的年金へ移行しながら年金改革を行ってきた成果が少しずつ現れたようです。日本も見習ってほしいですね。そして、イギリスの紳士の皆さんはどんどん長生きして、また、私がピンチになったときに助けて下さ~い(笑)。