ナイキの人気と偽物の普及
フライトアテンダントとして、韓国ソウル便を乗務していたとき、皆で「ナイキ」のスポーツシューズを何足も買い出しにいったものです。
空港から近い五星ホテルの裏道には、屋台がずらりと並んでいる通りがあります。その一角に偽物のナイキなどのスポーツシューズが格安で売られていました。「すぐに汚れてヨレヨレになってしまうスポーツシューズは偽物で十分」と買い物を楽しんだのを思い出します。だから「ナイキ」といえば、韓国を思い出すのです。
そのだいぶ(?)前の80年代は、中国でもスポーツシューズ市場は、韓国のメーカーが占めていました。
ところが、最近では台湾のメーカーの「宝成」「隆典」「豊泰」などが本格的に進出しています。
「05年に中国で最も影響力のあった多国籍企業」として、マイクロソフトやカルフールなどがランクインされた中、ナイキは20位でした。
ナイキを輸入していたら高すぎて中国人の庶民には手が届きません。
「ナイキ」の受託生産をしている「宝成」などは、広東省の工場に約十八万人もの従業員をかかえ中国市場に本格的に進出しているのです。メキシコや台湾など他の国の工場では、世界中あわせて六万人の従業員しかいませんからどれくらい中国に力を入れているのかがわかります。
出荷数は約1億4000万で、世界のスポーツシューズの2割を生産しています。
ナイキの人気は大型店から小型店まで至るところで見ることができました。北京市最大の繁華街の王府井のスポーツ店では外国人のタレントを使ったかっこいいポスターを張り演出しています。
北京市の市街地の西郊に位置し、地下鉄1号線が延びる石景山体育中心という体育館の近くに並んでいる小さなスポーツ店にもいってみました。
どのスポーツ店にいってもほとんどがあまり知られていないブランドの靴下やシューズなどばかりが売られています。ところが、ナイキだけはどんな小さな店にいっても必ず1点はおいてあるのです。
靴下からシューズ、それにスポーツウエアまでナイキのロゴが入っているものばかりです。日本円で200円もしない安さ、たくさん購入しようと手にとってよく見てみると、どうみても本物ではないマークのものが販売されています。
どうりで安いと思った。
ナイキの人気が普及するには偽物も大量に出回るといった通過点を通らなければならないのでしょうか。

NIKE 偽者靴下