王子製紙も注目する中国紙市場
中国のトイレって本当にドアがないの?
 こんな質問は数年前からあまり聞かなくなりました。私もドアのないトイレで実際に用を足す体験をしてみましたが、ちっとも恥ずかしくなかったですよ(笑)。お尻を後ろにしてしゃがんでいるため、向かい側には、私と同じかっこうをしている別の人の頭しか見えないのですから。
 最近のトイレ事情はもっと面白いです。急増した洋式のトイレに座るのが嫌なようで、本来なら座るべき便座のふたの上に土足のまましゃがんで用を済ませます。だから足跡がついているのです。北京の銀座とも呼ばれている王府井(ワンフーチン)のレストランで食事をすると、まだ和式トイレのところが多く、その隣にでかいゴミ箱がおいてあります。よ~くみて見ると、その中には使い終わった汚いトイレットペーパーが捨てられています。そのままトイレットペーパーを水に流すとつまるため別々に捨てているのです。中国のトイレットペーパーの紙は固くてごわごわしているのに、ポケットティッシュを使う習慣はまだなくて、中華料理店では色気もなくテーブルの上にど~んとトイレットロールがそのまま置いてあります。
 高齢者施設に行くと寝たきりのお年寄りのベットにはビニールシートが敷いてあります。紙オムツの代わりなのです。少し前まで地方の保育園では股が割れたパンツをはかせていました。紙オムツの料金が月収とほぼ同額であるため高くて手が出せないのです。ポケットティッシュを使う習慣がないどころか、紙オムツを使う習慣もないのです。お年寄りや赤ちゃんが紙オムツを使うようになるだけでも、大きな市場が見込めます。
 日本でも布オムツを使うのが当然だった時代がありましたが、いつの間にか紙オムツに移行しました。中国でもまさに製紙市場が拡大する入り口にたっているのです。
王子製紙の意気込み
 生産量、消費量ともに中国の製紙市場はアメリカに次ぎ世界2位です。それなのにまだ中国の市場は未熟です。そこに注目したのが王子製紙(東証1部、3861)です。王子製紙に敵対的TOB を仕掛けられた北越製紙(東証1部、3865)の株価は上昇しましたね。
 原油高が製紙業界に追い打ちをかけている中、王子製紙は約2300億円を出資、中国の江蘇省に南通市経済技術開発区総公司との合弁で江蘇王子制紙有限公司(仮称)を設立、2009年夏から工場の稼働を計画しています。中国市場を狙っているのは日本製紙、三菱製紙、大王製紙なども同じです。ちなみに、中国には6000社以上の製紙会社があります。
 汚水処理設備の改善とともに、トイレに流せる質のいいトイレットペーパーを作ってくださいね。