中国の最後の問題、農業の改革
 中国にとって今後の最大の問題はエネルギー不足と食料不足でしょう。石油の生産国にもかかわらず輸入国になっている中国は、食料においても完全な輸入国になろうとしています。
 エネルギーと食料はいっけん別な話のように感じますが、実はつながっています。
 例えば石油などの化石燃料と違って毎年生産ができる再生産が可能なエネルギー源(更新可能燃料)として注目されている穀物、また石油の台替燃料として期待されている、サトウキビ、トウモロコシなどの生物資源からできるエタノールなどです。
 中国は、今のところトウモロコシの輸出国です。
 しかし今後は輸入国に転じ、アルゼンチン、アメリカなどから輸入しなければならなくでしょう。
 中国の2004年の経済全体の成長率は9.5%なのに、農業の成長率はわずか6.3%です。
 富裕層が増えている都市部とはまったく違い、貧困に苦しんでいる農民、農業就業人口は、中国全体の人口のうちは全体の5割近くを占めています。それなのにGDPに占める農業の割合はたった約13%です。生産性が悪いことを表しています。
 全国人民大会では、こういった中国のネックである農業問題を中心に改革を促進してきました。そのかいあってか、食糧生産と農民所得はこのところやっと低迷状態から抜け出し、少しずつ増加しています。2004~2005年の2年間に5,330万tの増産を実現したものの、中国の人口は2030年までの25 年間に約10%が増加されると見込まれています。さらに砂漠化が進み耕地の減少、水資源の欠乏、国民生活の向上などによる食生活の変化によって、ますますの食料の需要の増加が考えられます。
 一方でレトルト食品(たとえば「康師ティンイー(香港市場・0322)「緑色食品(香港市場・0904)」の需要は増加しています。
 中国にはまだ農業関連の大型企業が多く存在していません。「超大現代農業(香港市場・0682)」などプライベート企業や小型企業がほとんどです。
 食料問題への政府の取り組みとともにM&Aなどによって企業の拡大、政府系の企業などが増えるかもしれません。
 中国の最後の懸念材料ともいえる食糧問題への解決策はまだこれからが勝負です。