中国経済は女性の底力
上海の繁華街「南京路」を歩いていると若い女性に甲高い声で怒鳴られている男性の姿をよくみかけます。面子を気にする中国人だというのに、女性に怒られると言い返す勇気はまったくないようで、かわいそうなくらい平謝りしているのです。
 「毛沢東の『婦女頂半辺天』(天の半分は女性が支えている)と言う教えのせいだ」というのは、たいはんの中国人男性の意見です。この頃から女性が優先され、めきめき女性が強くなっていったそうです。
 また、今でも中国人の夫婦は別姓です。もちろん日本の夫は比べ物にならないほど、食事の準備や子育てなど家事全般について、当然のごとくきっちりと半分を分担させられます。
 家だけでなく会社でも平等です。女性は子どもを産んでも半年で復帰しますから、昇進についても、あまり障害にはなりません。専業主婦になるという考え方は昔からありません。働き続けることが当たり前という感覚のため、女性たちの転職でのステップアップの仕方は日本人も見習うところもあります。
 今後、女性はますます強くなる懸念があります。
 2004年度の男女の出生比率は女児100人に対し、男児121人に達しました。男女出生比は女性100に対して男性は103-107が正常な範囲です。それをはるかにこえてバランスが崩れています。
 社会保障制度が充実していない農村では、息子がいなければ老後の生活ができなくなると悲観して男の子が産まれるまで戸籍のない女の子を産んだり、流産したりする傾向があります。
 男性の人口が少ない分だけ、女性は選ぶ権利が増えます。今の世代だけでなく後世にも女性の強さは引き継がれていきそうです。あれこれワガママいって多くの男性の中から選ぶことになるでしょう。
 消費においても女性のマーケットは確実に拡大しています。
 中国の女性に今もっとも人気のある日本企業は資生堂です。新ブランド「URARA」(ウララ)、中文名「悠莱」(ヨウライ)を、上海の工場で生産し再来月から販売します。約220元(約3300円)で、高級デパートで販売してきた「オプレ」よりやや安い若い層を対象にしています。また、香港に店舗のある「SaSa(ササインターナショナル)・香港市場・0178」はブランド品の激安ショップといったイメージです。
 富裕層、中間層、ちょっと背伸びしてブランドもってみたい層、など女性のプライドをくすぐるような商品はこれからますます開発されていくことになるでしょう。