中国人の野球と歴史
 中国で野球の話をしても誰も興味を示しません。書店に行っても野球の本はほとんど見つけられません。
 野球自体は100年以上も前に、アヘン戦争以後やってきたアメリカ人の宣教師などから伝わったとされています。中国人としての最初の野球チームとして「中華棒球隊」が組織されました。1952年の中国人民解放軍体育大会が北京で開催され、8チームが参加しました。当時は野球の競技は軍隊のチームワークのトレーニングとしても効果的だと各地でも広がっていきました。1959 年の第一回全国運動会)では、30 以上の省・市のチームが優勝を争った。
 ところが1960年代後半からの文化大革命が始まると、学校に行かない子どもが増えると同時にスポーツも必然的に衰退しました。
 それからしばらく野球も広まることはなく低迷しました。そして1970年代になり、中国と日本が国交を回復するとアマチュアの野球チーム同士の交流も行われるようになりました。
 1979年にはようやく中国棒球協会が設立されたのです。
 それでもプロ野球は2002年に始めて開会されました。どうりで中国の人はまったくといっていいほど野球に関心がなく、むしろ日本の野球チームのことのほうがよく知っているようです。だからなのか、中国では野球の試合を見に足をはこぶと、観客のためにわざわざルールを実況で説明するのです。進行中の試合そっちのけで、ルールをまだ知らない観客のために、よくわかるように、説明しています。
 野球に興味がわかない理由に野球選手の給料が安いということもあげられます。1000元から能力が高くても4000元ほどしかもらえません。一般の会社員のほうが安定しています。子どもたちは他のスポーツ選手にはあこがれても野球選手にはあこがれません。だから日本のように公園でキャッチボールをする姿さえみかけることがないのです。
 スポーツ店のどこを探しても野球のバットやグローブが売られていないことには驚きます。
 今、政府は北京オリンピックに向けていい選手を見つけようと必死です。
 野球への興味を抱かせようと「歓楽棒球」と呼ばれる野球体験教室を各都市で開いています。
 北京で開催される五輪で恥をかかないように選手への急激な圧力も強まりそうです。