胡錦涛の躍動
 新しく阿部内閣が誕生した。中国外交部の秦剛・報道官は「日中関係改善のために理解してもらいたい」と述べたが、中国でも目に見えない政治の動きが激しくなっているようです。
 中国共産党上海委員会書記を務めていた陳良宇が解任されました。理由は公的資金の流用です。特定の企業のために不正に流用したとされています。中国共産党上海市委員会書記だけでなく同委員会の全ての職務から解任しました。韓上海市長が中国共産党上海市委員会書記の代理を務めることが決まった
 ところがメディアをみて、国民は、このことに対してとがめる前に、胡錦涛に対して勇気のある行動だとエールをおくりたいといっています。6月にも北京市で同じようなことがあったときには、これまでの政府のやり方が悪いと国民の苦情が殺到しました。
 中国でも公的資金の流用はよくあることです。今さらわざわざ解任する必要もないのです。しかし、ここで胡錦涛は賄賂や汚職などを頻繁に行っている悪者をあえて追放するポーズをとっています。
その理由には2つあります。
 1つは、「陳が上海の不動産価格をつりあげた」といわれているように、懸念するバブル崩壊をストップさせるためです。このような悪者がいるかぎりどんなに金融引き締め対策を行ってもムダです。
 2つめは、胡錦涛の存在をアピールするためです。古い政権を改革できていないという批判に対してきちんと仕事をしていることを示すこと、また日本の靖国参拝によって面子をつぶされた、政権交代がささやかれる中で、そういった胡錦涛の強さも前面に出したかったのでしょう。
また、貧富の差が激しくなると不満が爆発します。農村地域と都市部だけでなく、都市部における出稼ぎ労働者と、もともとの住民との摩擦もあります。
 マックスファクターのSKⅡの問題はごく一部です。思ったとおりにならない日本に対しての不満から反日デモや国内の不満から引き起こすデモなどが爆発し広がることのないように、政治家を取り締まり胡錦涛の活躍を示しているのです。