2007年の経済予測
アメリカ景気低迷の影響
 これからしだいにアメリカを中心に海外の景気回復ペースは鈍化するだろう。
 アメリカにはさまざまな困難が待ち構えている。
 利上げ、定率減税の縮小のための家計の公的資金の負担、原油高により企業の利益の減少、加えて急激に高騰しすぎたマンションの下落などである。
 日本はもっともこの悪影響を受ける国になるだろう。
 特にこれまで業績が好調だった輸出関連の企業にはマイナスになる。
 加えて企業だけではなく、輸出の停滞は日本経済全体の景気の減速要因になりえる。
中国経済への影響も深刻
 次にアメリカの影響を大きく受けることになるのは中国である。
 弱ってきたアメリカのマーケットに、追い討ちをかけるように安い中国製品が出回っている。
 景気がいいときならまだ感情はおだやかであるが、経済が低迷し個人の懐も寂しくなると、反感が大きくなる。
 人民元切り上げのさらなる圧力だけでなく、模倣品への取り締まりなどによって中国経済はかなり本格的な打撃を受けることになるだろう。
 具体的に中国への訴訟などを実施し、その金額は莫大なものになり、中国企業の利益を減少させるどころか、中国の経済全体のマイナスにもつながる。
欧州への影響は少ない
 中国の海外でのM&Aなどに対してもアメリカとヨーロッパでは対応の仕方がまったく違う。
 中国市場において個人の消費者はアメリカや日本の製品よりも、壊れやすくても安い韓国製のメーカー、そしてドイツやフランスのブランドを好んで購入している。
 同じように国家プロジェクトにおいても、インフラの整備などにおいて、中国政府はヨーロッパ各国を優先的に取入れている。
 アメリカと距離を置いたヨーロッパの姿勢は、中国人の国民感情として高く評価されているといえる。
 強硬手段で人民元切り上げの圧力をかけ、世界でのパワーを示しつけているアメリカと違い、したたかなヨーロッパの外交は、中国経済との調和だけでなく、2007年以降アメリカの景気が悪くなっても、その影響は最小限のものになると思われる。
台湾経済は好調
 また、中国経済とのかかわりが強く、中国への投資の多い台湾経済はどうだろう。
 2007年もこれまでの成長幅を維持し、経済成長率も4%以上が期待されている。
 これからの中国経済にとって重大な役割をする台湾の景気が好調なことは救われる。
 台湾では国内の失業率も低くなることが予測されている。
 中国への流通においても拡大し中国市場においての台湾との経済関係は強くなるだろう。
 中国経済は、アメリカ経済成長が低迷する悪影響を受けるものの、こういった台湾や欧州との関係を強めることで、少しでもその悪影響をさけたいところである。
 世界的にみてもアメリカの景気が悪くなると、その影響を受けない国に注目することだ。
新興国はベトナム経済が安定
 2006年9月、大手格付会社のスタンダード&プアーズが、ベトナムの長期外貨建て債務の格付けをマイナスBBからBBに引きあげた。
 また、長期自国通貨建て債務の格付けもBBからプラスBBに引き上げた。株式市場に上場している企業は約50社しかない。株式市場においてのインフラ整備や海外からの投資がますます増えることが予測される。
 WTO加盟により国営企業の民営化がすすみ、海外からの評価も高まりつつある。
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