今後の中国経済は鉄鋼業しだい!
 中国の鉄鋼の生産量はすでに日本を抜いて世界一、世界の3分の1の生産量を占めるようになりました。急速な経済成長にともない中国の鉄鋼生産量も1998年から2005年にかけて4倍にも拡大しています。
 ところが需要と供給のバランスがとれていません。過剰な生産における鉄鋼余りがおきていますが、技術力を必要とする高級鉄鋼材は輸入に依存しています。鉄鋼の生産能力は2005
年の需要の3.7 億トンを1.2 億トンも上回っているのが現状です。余っている安くて質の悪い鉄鋼が世界に流出すると世界の鉄鋼の価格破壊が進むことが懸念されます。もっといえば鉄鋼は自動車、住宅など多くの産業において関連性が強いため、全産業においての影響も考えられます。
 中国には鉄鋼メーカーは1000 社以上が存在していますが、そのうちの34 社だけが年間100
万トンを超える生産量です。800の製鉄所のうち16 社のみが年間500 万トンを超える生産高です。鉄鋼産業は細分化されていて、小規模企業が多いということは効率が悪くて採算性も悪い経営が行われている、悪循環が繰り返しているのです。質より量で大きくなった世界ランキング6位の生産量である「上海宝山鋼鉄」もアジア3
強メーカーの規模であるのにもかかわらず採算性が悪く技術力不足の中、低級材を中心に利益を上げてきました。女性の謝企華董事長(会長)は世界的に有名ですが技術面ではまだまだ遅れているのです。
 鉄鋼産業においても民営企業の参入により、鉄鋼市場に占める国有企業のシェアは低下し5
割となっています。実は電解アルミ産業・鉄合金産業・コークス産業・カーバイド産業・自動車産業などでの産業においても生産能力の過剰化が起きていますが、国有企業による独占状態から外資企業や民間企業が参入している産業においてこのような過剰な生産過剰な状態がおきているのです。
 今後の鉄鋼産業は中国経済の成長の鍵になるだけでなく、鉄鋼産業における日本経済への影響、鉄鋼企業への影響もさけられないでしょう。鉄鋼産業は二酸化炭素の排出量が他の産業よりも非常に多いため、政府も注視し政策を出しています。世界経済への影響を避けるためにも中国鉄鋼企業において環境にいい高レベルの技術の獲得が急がれています。