奥様はフランス人、実力ナンバー1の姜文
 2000年、カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞作「鬼子来了」(鬼が来た!)が日本でも放映されたことで知っている人も多いはず。
 映画業界のみんなから「チャンウェン先生」と呼ばれている姜文(チャンウェン)は映画界でもっとも有名な俳優といえます。それは最近の俳優と違いジャーナリスティックで実力ともにナンバーワンを誇るから。
 河北省等山出身、1963年1月5日生まれ、軍人の父と音楽教師の母に囲まれ毛沢東の本ばかりを読んでいたそうです。
 6歳の時に北京へ引っ越してから演技に興味を持つようになり、80年、中央演劇学院演技部に入学し、84年、卒業後は中国青年芸術劇院の俳優になります。
 現在44歳、まだ若いのですが、物事へのこだわりはすごい。
 豪快な性格ですが、短気でヒステリックな面もあります。また、映画への情熱は人一倍。自分のセリフへのこだわりは強く監督と言い争いになることもしばしばありました。
 そして姜文は俳優から映画監督の道に進みます。
 1994年「陽光燦爛的日子」(太陽の少年・文化大革命に泥棒として入った部屋に飾ってあった女性の写真に一目ぼれ、後日、町で偶然同じ女性と会い恋におちていくストーリー)は、初の監督作品だというのに世界中から評価されました。ヴェネチア国際映画祭で高い評価を受け、シンガポールや台湾でも多くの賞を受賞しアメリカタイム誌で95年度ベスト作品と評価された。その後99年の監督・主演『鬼が来た!』でついにカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したのです。
 それでも、「中国の映画はレベルも商業価値としてもまだ未熟だ。農業段階と同じ。米国の商業化された映画と違う。昔の純粋な素朴な映画が減少している中で新しい国民的大規模な映画も作っていない。業界人は、冷静になって、考えるべきだ。本当のところどんな映画を撮れば観衆が満足するのか。映画を撮るのは、恐ろしくもある」と、中国の映画を客観的に見つめています。
 姜文がまだ売れていない1987年、「芙蓉鎮」=湖南、広東、広西の3省の境にある芙蓉鎮という地名)(商売で成功した夫婦が文化大革命で大混乱するストーリー)で大女優の劉暁慶(リュウ・シャオチン)さんと共演、恋仲になり噂されたこともありました。
 現在はフランス人の奥様と娘の3人の家族構成で、かわいい娘を大事にしている家族思いなパパです。
 弟は同じ俳優で姜武(チャン・ウー)です。
 中国の映画界に大改革を起こしそうな姜文は、きっと中国という大陸そのものを動かしてくれることにも期待しています。