世界同時株安
 これから中国株式市場の動きをみる大きなポイントは、アメリカと中国の株式市場がどのように手を結んでいることを理解することが大事です。私はFINANCIAL
TIMES と人民日報を毎日みています。それは、米中の政策の時期と内容を把握することで株価の動きもつかめるためです。
 例えば、世界的にバブル状態を抑制させるためにポールソン財務と呉儀副首相の間で第一回中米戦略経済対話が開かれました。実はそこで政策に影響を受けやすい中国政府に株価の下落につながる政策を促したのです。第2回目の中米戦略経済対話は5月です。どのような政策が出されるのか注目です。
 先週の13日のアメリカの株式市場が急落したこと、また、国家統計局が発表したCPI(消費者物価価格)が上昇率は2006年12月は前年同月比2.8%、1月が2.2%と下がったものの2月は「警戒ライン」の3%近くになったことが過熱しすぎている中国でのさらなる経済引き締め政策が打たれるとの噂を招きH株指数の下げ幅は300ポイントになり2月27日の世界同時株安に近い下げ幅となりました。
 次は3月16日発表される直近2カ月の固定資産投資の数字によっては、6カ月以内に計0.15%利上げされる可能性があると、JPモルガンは指摘しています。
 いずれにしてもアメリカと中国の何かの発表の日はこれまで以上に注意が必要です。そのたびごとに階段を少しずつ下りていくチャートになるかもしれません。
 しかし株価に影響力のある中国人民銀行の周小川総裁は今回の世界同時株安は「株価の流れに大きな影響を与えるとは考えられない」と述べています。さらに人民元切り上げの圧力を抑えるために国務院の楼継偉副秘書長を責任者として外貨準備金を運用する会社を設立することを計画しています。
 世界的にバブルが進んでいるため、いつかどこかで調整が必要だということは誰もがわかっていながら、中国かアメリカかどちらが戦略をしかけるのか。世界に与える影響として結果は同じでも、先手を打って両国の戦略を客観的に見極め、見切りをつけることも大事なときかもしれません。