ベトナム株式市場の現状
日本金融新聞
ベトナム株の人気が高まっている。昨年からベトナムの投資信託は10本以上が発売されているが、いずれも資金が集まりすぎてすぐに終了されている。
最近の投資過熱の原因は昨年の11月にベトナムのWTO加盟が決定し、日系企業でもチャイナプラス1として中国から移行する企業、新たに進出する
企業が増えているためである。2006年の直接投資は、前年の倍にあたる、過去最高の100億ドルとなった。
ベトナムはアジアでは中国に次ぐ経済成長率GDP8%を推移しているが、加えて労働力がある。
人口は約8400万人で日本より少ないが、人口の半分が20歳以下である。このような人口構成を持つ国は経済成長も維持できるし将来性がある。
また、国土は広くないが豊富な天然資源がある。約3.8億円の輸出のうち3分の1が原油が占めている。
株式市場においても期待されているのが、海外からの投資家の人気が高まる要因になる民営化が進んでいることである。2000年にエンタープライズ
法(会社法)が施行されてから、民営化が進んでいる。
また、2005年に外国人投資家の株式保有上限が30%から49%に引き上げられたことも日本人の投資家が注目する原因となった。
外国人投資家がカギ
しかし、ベトナム株式市場そのものの歴史はまだ浅い。
2000年にホーチミン証券取引所ができ、2005年にハノイ証券取引所ができたばかりである。
ホーチミン証券取引所には大企業が、ハノイ証券取引所には中小企業が上場している。
実際にホーチミン証券取引所を訪問してみたが、金融街の中では趣のある白いお城のような建物という感じがした。ちょうど欧米からテレビ局が取材に
訪れていた。50台ほどのパソコンが並んでいて親切に担当者が案内してくれた。とても1週間前システムがダウンしたとは思えない様子だった。この原
因は投資過熱により急に取引が増えたからである。
毎月10社ほどが上場している株式市場だが、昨年の12月は50社も上場した。昨年の優遇制度のためである。
それらをあわせても上場数は約120社しかない。
上場数が少ないから時価総額も小さい。
現在のベトナム市場は約1.5兆円で、中国本土の約200兆円、東証一部の約500兆円に比較しても非常に小さい。
その分だけ一株あたりの株価が安いことになる。三〇銘柄に投資しても三〇万円ほどで買える。PERは平均は一一倍とまだ成熟していないからこそ株
価が安い。
そもそも銀行の口座を開設している人が全人口の四割しかいないベトナムで、ベトナム株式の口座数の半分が日本人が占めている。投資信託がすぐに終
了させる証券会社も流動性が高いというリスクがあるためである。
長期的スタンスでの投資でみれば上場数の拡大、時価総額の拡大により成長性はあるが、日本人以外の外国人投資家がどこまで注目するのかがポイント
である。

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