北京五輪まで500日を切った。プレ北京五輪が次々と予定されている。2月1日から5日までは競泳の中国オープン、2月19日から24日までは飛び込みの国際水連W杯が開催される。みどころは若手選手の発掘だ。エースの北島康介選手、アテネメダリストで北京五輪で引退する柴田亜衣選手と中村礼子選手に続く、背泳ぎの森田智己、伊藤華英、自由形の松田丈志、バタフライの中西悠子、平泳ぎの田村菜々香、種田恵らの誰が実力を発揮できるかどうか、その勝負心に注目したい。
 旭化成せんいは、キャンペーンモデルに競泳の元選手の中国人女性を起用したことで有名だが、これは中国シェアの獲得を狙った戦略である。確かに中国では海南島などリゾート地への観光客増加とともに水着の売れ行きが高まっている。小中学校でも新しくプールを設置するなど、水泳そのものの人気も高まっている。
 ただし金メダル候補が多い中国で、競泳はメダルの候補に名前が浮かばない。羅雪娟選手がドーピングの疑惑が広まり、その後、臓疾病で引退したが、それからは、男子200メートル・バタフライの呉鵬選手しか名前があがってこない。
 日中の悩みをよそに、今回もっとも金メダルに期待されているのが米国人選手のマイケル・フェルプスだ。「人類史上最高」との呼び声も高く、彼が泳いだあとには、驚異的な歴史が生まれる、ともいわれている。この選手の活躍が北京五輪の最大級の目玉であり、6個以上のメダルを狙える怪物だ。

◆金メダル=金への執着は中国より米国
 しかし、その選手を応援する声は、純粋な世界の視聴者よりも、スポンサーの米NBC局のほうが大きい。米NBC局は北京五輪の米国向け放映権料として約8億9400万ドル(約1050億円)を国際オリンピック委員会に支払っており、それは全放映権収入の半分を占めている。さらに放映権料は五輪全体の総収入の半分を占める。結局、米NBC局は世界最大の五輪最大のスポンサーということになる。米NBC局は、この選手にすべてを賭けた。金メダルを取って視聴率アップを狙い、それにともなうスポンサー集めをしなければならない。

◆米中経済戦争は北京五輪にまで
 米NBC局の利益のために、米国のゴールデンタイムに合わせ、競泳の大会時間を夕方から午前中に変更させられた。むろん、夕方タイムで練習してきた日中の選手には不利になる。
 スポンサーには逆らえない。しかし選手たちへの悪影響はさけられない。 金メダルは金なのだ。サブプライムローンで低迷している米国の「確実に金を獲得できる競技で確実に稼ぐ」姿には、かつての自由と平等をかかげていた姿は消えて、資源獲得と戦争と金にこだわる姿に変わっていた。中国を舞台に米国の戦略は中国にとって好ましい姿ではない。
 しかし、将来、五輪が米国で開催されることがあれば、主なスポンサーが中国になりスポンサー獲得のためにゴールデンタイムへの大会時間の調整をするかもしれない。今回の北京五輪で中国が多少なりとも市場経済が進むことは間違いない。
 米中の経済戦争は、今回の北京五輪をきっかけにさらに進むことになるだろう。