上海の日本食レストラン。広々としたフロアは、豪華な雰囲気に満ちている。レストランの階上にはクラブまである。この高級レストランの経営者は、なんと30代の中国人女性3人だ。大学時代に日本でホステスのアルバイトをして、経験を積み、お金を貯めた。それを元手に、上海で日本食レストランを開店したそうだ。

 上海などの都市部では、彼女たちのようにたくましく、実業家としての道を開拓している若き女性起業家が多くいる。地方から出稼ぎに出た女性が、エステサロンでマッサージ師として働いて営業成績トップになり、ついに大手エステサロンの社長にまで上りつめたという例もある。

 地方から上京し、苦労して蓄えたお金で起業する。そんなサクセスストーリーを描いた映画もよく上映されている。戦後、地方から都市部に集団就職し、独立を夢見た頃の日本人と同じかもしれない。しかし、生活の格差は中国の方が格段に大きいだけに、チャイニーズドリームとして世界中に大きく伝えられる。

 中国人の起業家は、30代が中心になっている。文化大革命が終わった1970年代前半からの経済成長とともに国民の上昇志向が高まった。まさにその時代に生まれ育った世代である。

 中でも、女性の活躍が目立つ。いくつか統計数字を見てみよう。「中国住民起業調査」によると、中国の起業家のうち23%は女性である。この数字は2006 年2月の統計だから、今はさらに増えているはずである。

上海は女性起業家が急増
 特に上海市では顕著で、男性を凌駕するほど。女性の中で起業に踏みきった人の比率が、1990年には0.01%だったが、2000年には6.6%にまで急増した。この時点の男性の起業家比率は5.7%しかなく、既に女性が男性を上回っていたのである。

 「科学投資雑誌」が2002年に起業した女性の動機を調べたところ、8割が「個人価値の実現」を理由に挙げている。これに対し、「財産を築くため」は1割しかなった。

 起業家意識が高い中国の女性は、自信に溢れている。中国共産党機関紙『人民日報』のネット版「人民網」(2002年7月)によれば、女性の85%が「自分の能力に自信がある」。そして、81%が自分の仕事に関して「何事も成し遂げられなければ満足できない」と、強い意欲を示している。

 そんな自信はどこからくるのだろうか? 我々と比べ、心身ともに並外れたタフさを備えているからではないだろうか。

 それを象徴するのが出産だ。中国では、結婚や出産で退職する女性はまれである。「出産は病気ではないから働き続けることが当然だ」という考え方が浸透しているため、産後すぐに復帰して、半年も休まない。働かない女性は、能力のない女とさえ言われる。

 企業の制度面も整い始め、授乳のために30分ずつ1日数回、近くの保育所に通うことを認める企業も増えてきた。女性に辞めてもらっては困るからだ。