北京では日本のマスコミが伝えた「警備体制が厳重でピリピリしている」とは逆の印象だった。観光地では警察や公安局がまばらで、へらへら笑いながら話している警察たちもいるほど緊張感はない。
 出稼ぎ労働者が強制的に帰省しているため、治安はよくなっているように見えたが、それは単なる見せかけであることが住宅地に行くとわかった。白タクシーやバイクなど違法業者が増加している。1メーカー5元。タクシーの半額。1時間以上かかるところを車の間を抜けて走るから10分で到着する。違法と知っていても白バイクに乗る客は増えるばかり(写真)。業者は集団で同じ寮に住んでいて10代から20代が多い。10年働いて金をためて実家に戻る計画だそうだ。朝8時から夕方6時までで、一日300元稼ぐ。違法だから繁華街や高速道路、大道路では活動しない。異常なほどの渋滞に悩む北京の公安は、これを取り締まることができない。
一方、新しく埋め立てたばかりの五輪会場付近では、過剰な取締りが実施されていた。地下鉄の各駅ではセキュリティチェックはさせられるが、新しくできた会場の最寄の駅にはチケットないと乗車できない。カメラ撮影すると公安が駆け寄ってくるほど。
 ところが会場はできたばかりなのに、会場付近の道案内の看板も不十分でタクシーの運転手も道を知らない。市内のタクシー9万台のうち7000台が近辺までいける許可ステッカーが貼られているが探すのに30分以上かかった。許可のないタクシーの場合、会場手前で降ろされるから1時間以上も歩かないと会場に入れない。道の途中で諦めて座り込んでいる地方からの応援団体もいた。
 日本のように地下鉄のMAPもくれない。青い服を着たボランティアスタッフは道は知らず英語も話せない人が多い。ストレスがたまった人が固まり喧嘩している場面にも遭遇した。そんなことに巻き込まれないよう中国はまだ共産主義、サービス産業は未熟であることを念頭におくことが大事だ。13日から再び北京に入る私も次回はイライラしないように気をつけたい。