急激な円高で、1万円台の海外パック旅行が発売されたり、欧米ブランドの人気がまた高まったりしています。手がとどかなかったイタリアの家具やカナダ産木材の住宅も販売強化されるかもしれませんね。
 平成初頭、私が新入社員だったころを思い出します。でも大きく違う点は、外資系企業の力が弱くなったことです。体力がなくなったため、給料が以前ほど高くなりません。転職しても給与面ではキャリアアップにならなくなります。
 英会話学校に通う日本人は大変多いですよね。それなのに、これほどまでに会社内で英語を使わない国はありません。もちろん日常的にも必要とされませんね。海外に8年、外資系企業に5年ほど勤務した私でさえ、現在は外国語を使う仕事にはついていません。
 英語は道具。英語自体を仕事にするなら語学の先生などしかありません。日本も国際化が進んだとはいえ、日常の中で外国人と出会って会話する機会はまだまだ少ないですね。
 今年9月に日本を訪れた外国人は約64万人。景気後退の影響などで昨年同月比で7%近く減ってはいますが、政府挙げての観光キャンペーンもあって、長期的には増加傾向です。コンビニや居酒屋、ITソフト関連企業などで働く外国人就労者数はこの10年で倍増していますが、それでも労働力人口全体の比率はわずか約1・5%なんです。
 こんなところが、日常生活で英語を話す必要に迫られないゆえんなのかもしれません。日本では英語を話せることが必ずしもキャリアに直結するわけではないのに、なぜ英語の勉強ばかりするのでしょう。今の仕事の状況を把握し、今後の自分に必要な技術や知識を改めて学ぶリカレント教育に打ち込むことの方が大事だと思いませんか? 定年後も仕事をしたい人なら、なおさらです。
(生活経済ジャーナリスト・嘉悦大学短期大学部准教授)