中国のビジネスパーソンは、基本的に残業をしません。定時に帰るのが当たり前です。加えて、職場の仲間と飲みに行く習慣もありません。仮に食事に出かけても夜の10時頃までに帰宅する人がほとんどです。
 外で深酒することもあまりなく、日本のように電車の中でお酒の臭いをプンプンさせながら眠っているビジネスパーソンも見かけません。
 飲みに行く習慣がない理由はいくつかあります。例えば、外は街灯が少なく治安がよくないため、夜はあまり出歩きません。女性であれば、夜に1人でタクシーに乗ることも危険とされています。
 電車も22時過ぎで終電となります。さらに寒暖の差も激しい。基本的に中国は、地理的な理由も含めて夜遊びに不向きなのです。
 仕事帰りに上司や同僚やお酒を飲まずにすぐに帰宅するのは、家族思いであるためともいえます。私の印象では、日本人より中国人の方が家族を大事にしていると感じます。
 では、毎日会社から真っ直ぐ帰宅して家で食事をしているかというと、そうとも限りません。家族では頻繁に外食に出かけます。
 例えば、日本では夜のレストランの客を見渡すと、その多くが職場の仲間や知人・友人だったりしますが、中国の場合は多くが家族で食事にきています。会社の帰りに週に2回は家族で待ち合わせて外食するのが一般的だと思います。
 日本では飲み会などが社内での評価につながってりしてしまうことがありますが、中国ではそういうこともありません。そこはドライで、利益、数字で評価されます。
コネはどう作る?
 実力主義の一方で、中国ではコネもないとキャリアアップは見込めません。しっかりとした人脈がないと転職もうまくいかないのです。では、家族とばかり一緒にいる彼らは、どうやって人脈を作っているのか。以前、【7】人脈作りのためなら、あらゆる手段を尽くすのが中国流で具体的な人脈作りの方法を書きましたが、今回は中国人ビジネスパーソンが主に実践している3つ人脈作りの方法を簡単にまとめておきます。
1 親戚の人脈をフル活用
 中国では就職や転職の際、親や親戚の人脈をフル活用します。例えば、私の知人は親戚の知人から目指す企業の関係者を紹介してもらっていました。
 親戚の子供がそれで就職できれば、親戚一同で大喜び。まわり回って自分たちにも利益が出ると思っていますから、親戚間でお金を貸しあうことも日常茶飯事です。日本では考えられないぐらい、親、兄弟、親戚のつながりが濃いのです。
2 勉強会に参加する
 人口が13億人もいる中国では、人脈を作るためには自分の肩書きを磨く必要があります。肩書きがなければ相手にされません。そのために、アフター5は勉強会に参加します。そこで人脈を築こうとするわけです。
3 お金持ちが集まる場所に行く
 上海市など商業が盛んな地域では、高級スポーツジムやゴルフ場などにお金持ちが集まります。そこに所属することで、自分のステイタスを上げようとする人も多々います。
 それもすべて人脈作りのため。スポーツをするためではありません。高い入会金を無理して払ってでも、人脈作りに励みます。
実力とコネの双方が必要
 中国では、日本より会社の評価も人脈作りもシビアと言えます。人脈作りでは、「知り合えたらいいなあ」という甘い感覚ではなく「知り合わなければ先はない」という感覚を持っています。
 日本でも、若い世代のビジネスパーソンは、残業しない、会社の人と飲みに行かない人が増えています。けれども、だからといって中国人のように、就業後に人脈作りに励んでいるわけでもありません。
 実際に仕事で結果を出していれば、コネがなくても出世も転職もうまくいくことでしょう。しかし中国では、実力主義といわれている一方で、根強い人脈依存型の社会が残っており、そのどちらも長けてなければ成功しません。
 働きすぎず、人脈を作るために自らステイタスを上げて、親戚も頼れる人はみんな頼る。そんな個人の感覚が中国の経済成長を支えているのかもしれません。