くまもと森都心プラザ1周年イベント 経済セミナー東アジアにおける日本企業の戦略

2012年10月7日
経済セミナー 東アジアにおける日本企業の戦略
萩原 崇さん、ソニー(株) V&M 事業本部、 副本部長
坂本 正さん、現在、熊本学園大学教授
コーディネーター 柏木 理佳(かしわぎ りか)生活経済ジャーナリスト
(1)尖閣諸島問題、政権交代で日中問題は?
結論=政治に関係なく中国では日本の高品質が売れている
中国版楽天ショップ、ネット販売など影響なし=いいものが欲しいから
(2)中国に進出した日本企業、売れているのは?成功企業は?
●中国で売れている日本製品の例
・ミルク、ミネラルウォーター、食品など
・応用技術 ウォシュレットなど 
・日本のフジりんご果物が一万円でデパートで売られている
・一人っ子政策で子ども塾がデパートなどにワンフロア
・日本より高級老人ホームなど
●中小企業でも中国で成功した例も
・Eラーニング(ただしコンテンツ、ライセンスなど規制が厳しい)
・クリーニングはまだホテルなど
・内装工事(中国は内装工事なしで売りに出すため日本人のきめ細やかなデコレーションなどが注目)
・日本で使わなくなったろ過機販売など
●個人でも中国で成功した例も
・カットに平均3500円から5000万円もかける美容室が増加中、日本製品のシャンプー、リンスも売れている(日本人美容師が個人で進出、出店)
・日本食レストランからおしぼり、お箸、日本の食材提供、コーディネーターへ
●熊本からの企業でも中国で成功した企業は、味千ラーメン→「現地化」
最初は台湾出店で失敗しましたが香港出店で成功、その後、中国で300店以上の店舗。私も現地で食べた。ニセモノの店まででるほど超有名。中国ならだれでも知っている。成功の秘訣:現地化:「現地用激辛のメニュー」「日本の味メニュー」を。サイドディシュの種類を増やし中国人がテーブルいっぱいに並べるのが好きな習慣を取り入れた、中国人が好きなデザートに力をいれたこと⇒成功の秘訣は日本の味にこだわりながらも。
(3)中国に進出した日本企業にとってリスクは?苦労した点は?
① 品質問題とその対応 → 他地域とは違った品質の感覚。購買行為。
315対策など(3月15日は品質の日)。
② 目に見えにくいものに対しての 「お金の払いかた」 のビジネス→ 特に、ソフトウェアやサービスに対する感覚
③ 規制や取り締まるに対する対応。→ すべてが明文化されているわけではない。落としどころをさぐる感覚
④ 地域差、個人差が大きく、日本と同じ感覚での一律の商売は難しい。
⑤ 日中の歴史やそれにかかわる事項:失敗例:日本人のおごり、トヨタCMなどの失敗
⑥撤退トラブル理由の6割近く:売掛金を回収できず倒産。資金回収できない。
<リスク回避努力>
●またそのリスクを回避するためには?
① 品質問題を起こさないこと。問題起きた時には、素早く対応すること。
② 政府系の人脈も大事。
③ 会社として何重にもチェック機構を備えているので、大きな資金回収の問題はなかった。(小さいものはいくつかあった)
とにかく、与信限度はかなり厳しく運用すること、資金回収に問題が出そうな場合には、すぐに対応をとること が重要。
④ 資金回収で成功企業代表 資生堂⇒入金を確認できてから初めて出荷 オーダー→在庫確認→銀行入金確認→出荷の流れになり,資金回収には困難がない。
百貨店に対しては前金制ではなく、代金回収の困難はあるが、未払いに対しては3度目の警告で商品回収を実行するという方式である。
中小企業でも与信管理部門を設置、契約内容の債権回収まで人事評価に入れる(契約だけでなく回収できて初めて評価につながるシステムに⇔回収できた金を横領して会社に知らせず辞めた例も、回収担当責任者の人選を慎重に)営業許可書があってもペーパーカンパニーでないか見分けるため、最新の年度検査に合格しているのかをチェック。契約書は法廷代表者であるか。三井住友銀行などが資金回収サポートも始めている→力強くなった。
⑤ 北京市 政府に目をつけられた日本企業、税務署からぺティキャッシュなど細かいことでペナルティ要求された⇒改善策として税務署向け担当者を中国人マネージャーに任せ。接待など人脈を深めた(アンダーテーブル)⇒結果、翌年からペナルティなしへ
(4)中国に行かなくても日本にいながらでも中国ビジネスチャンスは?
・アジア人の観光客の割合が最も多いのが熊本で9割、全国平均は7割。地理的なこともあるが、韓国・中国が多い。欧米人が少ない。
・中国人観光客(持参金+せんべつ)
・世界一消費する国(フランスの例、秋葉原の例)
・商店街、ツアー取り組み
(鹿児島、福岡、横浜中華街などの例)
●海外から鹿児島県を訪れた外国人は2006年は11万2千人,2007年は12万9千人,2008年には13万1 千人と大幅に増加しています。特に韓国,台湾,香港といった東アジアからの観光客が全体の約8割。
●九州への入国外国人数は年々増加傾向。平成10 年にアジア通貨危機によって落ち込むものの、すぐに回復基調となり、右肩上がりの増加を続けている。平成16 年に50 万
人を突破すると、その後は加速度的に増加し、平成19 年には92.7 万人に達した。
●外国人訪問率、東京57%、福岡8.7%、熊本3.6%(阿蘇山2.6%、熊本市内2.4%)、鹿児島1.1%(鹿児島市内)
●中国人はリピーター、推薦率が高い。8割。外国人の平均は5割。
●熊本は山、自然だけでなく、熊本市内はファッションの街
●まずは銀れいカード使用可能に
=国内向けビジネスでも中国語が必須の時代へ
=熊本長期滞在に向けて準備を
●個人でもPC1台あれば中国とかかわれる
・中国版楽天タオバオは資金回収リスクが少ない
・特産品HP中国版で成功した例
・ネットで売れている日本商品(ファッション雑誌の掲載服、工芸品、千羽鶴、おまもりなど・・・)