日本企業が世界で勝つために、

日本企業が世界で勝つために、
有能な中国人をいかに確保するか

 今、中国の経済学者、評論家の間で話題になっているのが「ルイスの転換」である。これまでは農村地域の余剰人口が都市部へと流動することで工業化が成り立っていたが、少子高齢化が進むことによって労働人口が不足しはじめ、それが人件費の高騰を招き、経済成長維持が懸念されだしているのだ。
 そのうえ、中国では慢性的にホワイトカラーや技術者が不足している。これか
続きを読む

日中で仕事をしたいなら、まずは架け橋の役割に徹すること

 現在、日本で仕事を探している中国人をはじめとした外国人の募集に対応している人材ビジネス会社は100社を超えます。その一方で、中国や海外で働きたい日本人のための人材ビジネス会社もあります。これまで閉鎖的だった日本でも人材のグローバル化が進んでいると言えるでしょう。
 さらにグローバル化も昔に比べると「母国語をしっかり話せる外国人なら誰でもいい」という時代から、「外国人でも経験があり、能力がある人材がほし
続きを読む

中国人の集中力の高さはどこからくる?

 「中国人の留学生は本当によく勉強していて、成績も良い」という評判を耳にしたことはありませんか。実際、大学で生徒たちと触れ合っていると、本当にそう思うことが多々あります。彼らに共通して見られる傾向としては、集中力の高さが挙げられます。これは中国人ビジネスパーソンでも同じではないでしょうか。
 以前、テレビドラマの「OLにっぽん」や「上海タイフーン」などで、とても優秀な中国人ビジネスパーソンが印象的に描か
続きを読む

部下を引っ張る力が強い中国の管理職

 若い頃に飛び抜けて良い営業成績を出し、個人の能力で出世した管理職たちは、部下への教育、育成力が劣っていることが多々あります。これまで尊敬していた上司が管理職になった途端に力を発揮できずに色あせて見えたという経験を持つ人も少なくないでしょう。
 部下を教育するよりも自分で仕事した方が何倍も早く終わるといった理由から、部下の教育に力が入らなくなるのかもしれません。
 一方で、営業成績はそんなに良くないものの、
続きを読む

あまりにひどい中国タクシーのマナー事情

  「道を知っているのにわざと少し遠回りした」「車の中がタバコ臭い」「運転が異常に遅く、やたらふらつく高齢な運転手」「疲れているのにプライベートまで質問攻めにされる」…。このように、タクシーを利用する時、イライラした経験はありませんか。けれども、日本のタクシーはまだまし。中国では、信じられないほどひどいマナーのタクシーに遭遇することが多々あります。
 前回、中国人のビジネスマナーについて話をしましたが、未
続きを読む

気配りが足りなさ過ぎる中国人のビジネスマナー

 中国に出張したことがある日本人の中には、中国人のビジネスマナーの悪さにいらだちを覚えた人もいることでしょう。マナーの悪さに堪忍袋の緒が切れてビジネスそのものをダメにした話もよく聞きます。
 例えば、現地ではアテンドしてくれる中国人が毎回、アポイントの時間に平気で30分以上も遅れてきたり、大事な会議に必要な書類を揃えていなかったりと、トラブルが続出することがあります。帰国当日までにサインするはずの契約書
続きを読む

残業・飲み会はしない。アフター5は家族団らんかコネ作り

 中国のビジネスパーソンは、基本的に残業をしません。定時に帰るのが当たり前です。加えて、職場の仲間と飲みに行く習慣もありません。仮に食事に出かけても夜の10時頃までに帰宅する人がほとんどです。
 外で深酒することもあまりなく、日本のように電車の中でお酒の臭いをプンプンさせながら眠っているビジネスパーソンも見かけません。
 飲みに行く習慣がない理由はいくつかあります。例えば、外は街灯が少なく治安がよくないため
続きを読む

上司に怒られても謝らない中国人の思考とは?

私が中国で働いていた時、まず最初に学んだことが「謝らない」ということでした。日本人は上司に怒られたらすぐに「すみません」と謝る傾向があります。以前の私もそうでした。その方が礼儀正しく、好感度も上がると考えていました。
 ところが中国で働いてからはその認識が変わりました。同じ職場の中国人女性(25歳)は、自分のミスで上司から怒られても最後まで謝罪しませんでした。その時、彼女は上司から頼まれた取引先とのア
続きを読む

女性が年齢とともに働きづらくなるのは中国も一緒?

 私は海外から帰国したばかりの頃、知りあう男性に挨拶と同時に年齢を聞かれることが多くありました。そして、日本で就職活動を始めると、女性が働く場合は、年齢の壁がどうしてもつきまとうことを痛感しました。
 実際に働き始めると、さらにショックを受けました。多くの企業が、仕事ができる30歳以上の女性より、仕事ができなくても、若さと素直さと美貌を持つ30歳以下の女性を重視する傾向があることが分かったからです。
 この
続きを読む

政府も後押しする中国技術者の育成

 中国のソフトウエア開発が進んでいます。経済成長を維持するために、中国は技術者の人材育成にすべてを注いでいるといっても過言ではありません。それは、連載15回目の「ものづくりの分野で日本が中国に抜かれる日が来る?」でも少し書きました。
 技術者を活用するにあたっては、2種類の方法があります。
 1)技術者が発注する国に出かけて開発を行うオンサイト開発
 2)国外から発注されたものを、国内で集まったソフトウエア技術
続きを読む

中国の留学生は帰国後、会社員ではなく起業へ

 中国は国外の大学で勉強している留学生の数が世界一多い国です。鄧小平・元国家主席が海外留学生の大幅な拡大を指示した1978年以降に海外に留学した学生は、100カ国以上、累計121万1700人に達しています(2007年末)。そのうち帰国者数は32万人。海外留学経験者は、今では中国経済の急速な成長の人的資源として大いに貢献しています。
 中央政府は85年、「自費出国留学資格審査」制度を廃止し、中国から海外へ
続きを読む

ものづくりの分野で日本が中国に抜かれる日が来る?

 日本では学生の理系離れが問われていますが、中国では理系を目指す学生が増加しています。ものづくりの分野においては世界一と言える日本ですが、将来は理系出身者が急増する中国に抜かれることが懸念されます。
 近年の日本の学生の理系離れは深刻です。工学部の志願者に関しては、ここ5年で約4割も減少しているといいます。理由はいくつかあります。
・小中学校の理科の授業時間が減って、高校の授業(科学、物理、生物)について
続きを読む

政策や現場を最重視する中国アナリスト

 個人主義で競争心の強いビジネスパーソンが多い中国では、自己の昇進や年収アップを目標に転職を常に意識しながら働いています。それゆえ、個人のがんばり、つまり個々の成長は、企業においても人的資源として大きな戦略となっていると言えます。13億人が住む中国のこういった意識が中国経済の成長をけん引しています。
 しかしながら、現在はサブプライムローンの影響が世界規模で拡大し、将来の経済に大きな不安を抱えています。
続きを読む

若手が昇格しやすい中国企業

 数年前、私が大学院でMBAを取得している時、一番興味があったのがHRM(ヒューマンリソースマネジメント)でした。外資系企業から日本企業に転職した私は、年功序列型の日本企業の組織にどうも馴染めませんでした。
 最近では日本の企業の多くで年功序列型の考え方が薄れ、成果主義の導入を試みていますが、現実に成功している例はそれほど多くありません。けれども、中国では欧米型の成果主義が企業で深く浸透しました。
 中国は
続きを読む

日本企業を研修機関と割り切る中国人

 「日本企業は中国人に人気がない」という話を知っていますか。特に中国人を中心にアジア人の転職先では、日本企業は人気がありません。事実、日本の企業に入社した中国人ビジネスパーソンの多くは、数年後に欧米企業へ転職してしまいます。「日本企業は充実した研修をさせてもらえるところ。出世を考えるなら欧米企業」と考える人が多いのです。そこで今回は、中国人特有のビジネス観や日本企業のとらえ方を見ていきましょう。
続きを読む

外国人採用枠が増えても就職難は続く

 最近、日本企業の新卒枠に外国人(特に中国人)を採用するところが増えています。例えば、中堅家電量販店のノジマは、2009年春の新卒外国人留学生の採用数を倍増します。30人の採用を予定していて、そのほとんどが中国人になる見通しだそうです。
 外国人留学生の採用数を増やす主な理由は、人手不足の解消や、外国人向け商品の販売力強化があります。海外展開に向けて、人材を育成する狙いもあるといいます。
 ここ数年、日本の
続きを読む

子供の教育にかける費用や情熱が違う

 私は中国に行くたびに子育てと仕事を上手に両立している中国人の女性に感心します。働いていても、子供の教育に一切手を抜かないからです。その熱心さは、教育費にかける支出の割合が非常に高いことからも分かります。
 例えば、私の知人の唯一の楽しみは、大学生4年生になる息子の成長で、「卒業したらアメリカの大学院に進学させたい。そのためには、自分の給料のすべてを捧げてもいい」と言います。さらに「日本人の親は、給料の
続きを読む

中国の女性が子供を生んでも働き続けられる理由

 日本の場合、出産を機に7割の人が退社するといいますが、中国では「女性が働き続けることは当然」と考えられています。中国は労働法で、企業が女性三期(妊娠期・出産期・授乳期)に解雇することが禁止されています。このため、出産を理由にやめる女性はほとんどいません。事業所内や工場、もしくは会社のすぐ近くに託児所があり、授乳婦はそこで1日20分×2回ほどの授乳時間が取れるシステムになっています。
 中国では、女性が
続きを読む

「契約書に書いてないから」と逆切れする社員が横行

 「契約書に書いてないから」と傍若無人の振る舞いをする中国のビジネスパーソンを見かけることがある。何かトラブルを起こしても、逆切れしてそう答えるのだ。契約書からして、そもそも日本のものとは違う。
 中国だけでなく、香港、シンガポールなど、私が住んでいたアジアの国々は、仕事を請ける時は、真っ先に「ギャラはいくらか」「いつ支払われるのか」を確認して、契約書を交わす。これはとても合理的だ。だが、契約書に書かれ
続きを読む

人脈作りのためなら、あらゆる手段を尽くすのが中国流

 「保証人になってくれませんか」――。初対面の人に聞く質問でないことは、日本人なら誰でも知っている。だが、中国人はこんな質問も当たり前のようにしてくる。多くの場合、初対面の人が即OKしてくれることは少ない。それでも聞いてくるのだ。
 私の知人で日本の大学院に通う留学生、謝朴さんの奨学金が切れた時の話をしよう。彼女は奨学金を第三者から得ようと必死だった。そこで精力的に行ったのが人脈作りだ。私は彼女のなりふ
続きを読む

食の安全意識が高まり、農業ビジネスに注目集まる

 食料自給率の低い日本では将来が不安視されているが、中国でも農業ビジネスに注目が集まっている。ここ数年、民間の農業企業が株式会社化して上場するケースが目立ってきている。いまだに多くの企業が国営の中国においては画期的な出来事である。
株式会社化が進み、11社が上場
 実際、1993年には農業関連企業で上場していたのは、「港佳控股 (KPI)」の1社しかなかったが、現在は、新興企業が台頭し、11社にまで急増し
続きを読む

人脈作りのために国営企業を望む学生が増加

中国社会の現状と将来は、中国の大学生の就職希望先から読み取ることができる。チベット問題の後、愛国心を訴えたデモ隊が、今度は北京五輪前後に民営化デモに変わるのでは?と注視されている中、意外なアンケート結果が発表された。
中国の教育部大学生就業指導センター直属の就職雑誌『中国大学生就業』が大学4年生を対象としたアンケートによると、就職希望先は民間企業ではなく、国営企業が人気となった。2カ月間で1万725
続きを読む

労働契約法の施行でストライキが続発

 中国にある日系企業の工場で、賃上げ要求のストライキが続発している。ここ数カ月で、コニカミノルタ、カシオ計算機、ブリジストンの工場でストライキがあり、製造ラインが一時止まるなどの問題が起きている。ストライキの主な原因は、物価高から生じる生活苦だが、今年の1月に労働者の待遇を改善するために施された「労働契約法」の影響も大きい。
 前回のコラムでも書いたが、中国は労働環境が日本に比べて格段に悪い。加えて、中
続きを読む

悲惨な建設現場が中国の経済成長を裏で支えている

 中国に行くと、地方の駅前や繁華街であちこちに建設現場が見られる。その建設現場の前では、何人かの外国人観光客が足を止め、心配そうに上をのぞいている。それは、竹で組まれた足場を初めて見るからだろう。20階以上のビルを建設しているというのに、その足場はいつ折れてもおかしくない竹なのだ。実際に作業員が下の階に降りてくる様子はハラハラする。
 中国の新華ネットによると、2005年に中国で発生した各種生産活動にお
続きを読む

大学合格ラインが出身で違う?不平等な中国の受験制度

 北京大学を受験する息子のために、地方の戸籍をわざわざ北京に移した家族がいた。得点で競い合う大学受験に戸籍など関係ないと思われるかもしれないが、中国では都市部の戸籍を持っている学生の方が有利になる。不公平な受験制度になっている。

 中国の教育過熱は日本以上であることは有名だが、中国青少年センターの調査によると、9割以上の小中学生の父母が大学進学を具体的に考え、そのうちの5割以上が博士課程まで進ませたいと

続きを読む

起業家意識が高い30代女性、出産後もすぐに働き続ける

 上海の日本食レストラン。広々としたフロアは、豪華な雰囲気に満ちている。レストランの階上にはクラブまである。この高級レストランの経営者は、なんと30代の中国人女性3人だ。大学時代に日本でホステスのアルバイトをして、経験を積み、お金を貯めた。それを元手に、上海で日本食レストランを開店したそうだ。

 上海などの都市部では、彼女たちのようにたくましく、実業家としての道を開拓している若き女性起業家が多くいる。地

続きを読む