あなたは本当に管理職ですか? 残業代がつかない分、それに代わる報酬をもらっていますか? 私が住んでいた海外では管理職は残業代が払われない代わりに莫大な年収をもらっていました。その代わり実績が悪化すれば翌年は半分に減らされます。
一方、日本ではこのところ管理職の残業代カット訴訟問題が続出、会社側が支払いを命じられています。「部長になって給料が下がった」と嘆いている人たちは報われるのでしょうか?
労働基準法の「管理監督者」では次のような事柄に当てはまらなければ管理職とはいえません。
(1)休日は出勤しない、タイムカードを押さないなど自分の労働時間が管理されない。
(2)残業代が支給されない代わりに管理職手当などの待遇がある。
(3)部下の労務管理や人事の権限があるなど管理的な仕事がある。
マクドナルドの店長の場合は「偽管理監督者」であると判断されましたが、偽管理職はこれからも増加しそうです。
私は少しの期間、秘書として仕事をしていたことがあります。秘書は機密の事務を扱っていて経営者と一体であると考えられ残業代は払われないことが多いのですが、こうした待遇も問題になるかもしれません。
一方で、日本の会社は異常なまでに残業が多く、非効率です。労働生産性は先進国のうち最下位。欧米ではパソコンで5分で済むことが日本では煩雑な書類作成のために15分かかるといった感じでしょうか。私が海外勤務をしていた当時、現地の同僚は仕事が終わらなくても時間が来たらさっさと帰宅。遅くまで働いていた私や日本人の上司は「仕事のできない奴」と陰口をたたかれました。
残業代カットではなく、「残業なし」という日が来てほしいものです。
【プロフィール】柏木理佳
かしわぎ・りか 生活経済ジャーナリスト。豪州ボンド大学院MBA取得。客室乗務員、NHKキャスターを経て嘉悦大学短期大学部准教授。近著に『30分間でキャリアの磨き方がわかる本』(PHPビジネス新書)