今、求人が多いのが第2新卒だといいます。新卒よりは社会人として電話応対や文書作成などの基本的なビジネスマナーの経験がある人が欲しいということでしょうか?
いえ、実は管理職の経験のある人材がほしいのです。ここでいう管理職はマネジャーなどリーダーとしての役割のことを指しています。でも第2新卒は一般的に26歳くらいまでをいい、管理職の経験がある人はごくわずかしかいません。結局のところ、求人は多いのに応募できる人がいないのが現状です。
企業が求めているのは「若く」「管理職の経験のある人」ですが、そんなぜいたくにそろっている人はなかなかいません。ならば、企業は「育てる」か「年齢を引き上げる」かを考えます。
求められる人材や素質は、例えば(1)他人への影響力の大きい人。一つ一つの話に説得力があり、声も大きく、身ぶり手ぶりも大きく、わかりやすい性格(2)コーディネーター力がある人。企画立案、人をアレンジするなどの経験があり、人脈もありそうな人当たりのいいこと-。
しかし(1)や(2)を採用しても、本格的に管理職になるまで誰かがまた管理者として育てなければなりません。余裕のある会社なら、人を育てるためにわざわざ採用することもありますが、人件費は2人分かかります。
それならば、年齢オーバーでも、管理職としての経験があるうえ、穏やかで平等性があり、人をまとめる力がある人材を選んだ方が企業にとってもメリットがあります。むろん(1)(2)より給料が高くても全体でみればプラスになります。
一方であっという間に30歳を迎えて、ショックを受けているうちに転職限界説35歳が過ぎ、気が付いたら結婚と住宅ローンに縛られ好きでもない仕事をしている…という人も多いはず。年齢を経るに従って経験したことは、必ず自分の自信につながることを忘れたら損です。
(生活経済ジャーナリスト・嘉悦大学短期大学部准教授)