急激な株価下落は私たちの生活も直撃しそうです。企業業績が悪化して倒産件数が増加し、親の会社が倒産して学費が払えないと、やむなく大学を退学する学生もいます。先月から急に月給が1割カットされたと嘆く人もいました。そうでない人でもこの先、賃金面や雇用形態への悪影響は避けられないでしょう。
 むろん、就職先を探している人も不利になります。このところ新卒採用は増えていましたが、次回の採用からは確実に雲行きは悪くなるでしょう。
 それ以上に深刻になるのが、中途採用です。多くの日本企業は、景気が悪くなると新卒採用よりも中途採用を見合わせるようです。
 ある調査によると7月末の中途採用求人数は5年7カ月ぶりに減少しました。特に銀行、証券会社の金融機関、不動産、建設、流通、サービス業が深刻なようです。
 でも慢性的な技術者不足からIT通信や化学、そして輸出企業でも本当に技術力の高い人材は求められています。  景気が悪くなると「もう年だから今さら新しく勉強しても無駄」「それに不景気だから現状維持でいい」と言い訳が多くなる人が増えるようです。でもこんなときだからこそ、会社にしがみつくだけの人とそうでない人の差がでます。
 実は、できる人ほど、驚くほどにその努力を続けているものです。朝1時間の勉強会に参加するなど、どんなに忙しくても時間をつくって学んでいます。  彼らは、現状の仕事から分析して少しでも専門性を高め、継続すれば武器になると感じたことを追求します。
 それは(1)マニアック(ライバルが少ない)(2)継続できる(一生続けられる)(3)専門性(日本で必要とされる技術)-といった要素を考慮しているようです。
 いずれはその仕事を手掛けたたいのか、定年後のためなのか、も考えています。「あきらめない」が大事なのです。
(生活経済ジャーナリスト・嘉悦大学短期大学部准教授)