「道路行政の現状及び今後のあり方」(2月4日開催)
(国土交通省道路局・日本道路協会)
 
今後の道路行政のあり方・方向性をどう考えるか?
第二回「道路行政の現状及び今後のあり方」について意見交換会
 
○日 時 2010年2月4日㈭ 17時30分 ~ 19時45分
○会 場 ㈳日本道路協会会議室
○テーマ 「どのような戦略で具体論を詰めていけばよいか」
      (キーワード:投資配分、オペレーション、マルチモーダル、新技術)
 
○出席者(学識者は五十音順・敬称略)
【学識者】
岩貞るみこ(モーター・ジャーナリスト)
内田 敬(大阪市立大学大学院工学研究科准教授)
宇野伸宏(京都大学大学院経営管理研究部准教授)
柏木理佳(生活経済・ジャーナリスト/嘉悦大学准教授)
加藤一誠(日本大学経済学部教授)
清水哲夫(東京大学大学院工学系研究科准教授)
 
【道路協会・道路局】
 田﨑忠行 (日本道路協会道路広報特別委員長)
 河南正幸 (国土交通省道路局企画課道路経済調査室企画専門官)
 
――― 議事録 ――――
【パート1 情報提供と前回のおさらい】
 
【パート2 意見交換】
○効率性と公平性は並立なのか
○技術力を活かした道路マネジメント
柏木理佳氏
以前は日本の道路は設備がいいといった話をよく耳にしましたが、最近はとんと聞きません。それどころか、「狭い道路に狭い土地、渋滞も多いので、わざわざレンタカーを借りて廻ろうとは思わない」と言う外国人旅行客が多いそうです。シンガポールも日本と同じように狭い国ですが、渋滞緩和のためにナンバープレートの色分けや時間帯別料金を設定して走行規制を行っています。日本でも、技術力を活かしてさらに排気ガス規制を強めるとか、電気自動車のような環境性能のいい自動車は自動的に料金が割安になるといったシステムをつくって、それが国内で浸透すれば、アジア諸国も日本に倣うと思いますし、民間レベルでもビジネスチャンスが広がるのかなと思います。
それから 「道の駅」やサービスエリアで提供されるものは、大体どこも同じで変り映えがなく、地域による特徴がありません。例えば、渋滞緩和のために映画を上映するなど、少し毛色の変わった取り組みやそこに行く必然性をつくり出して、なるべくお金を落としてもらうように工夫したらどうでしょうか。賛否両論があるとは思いますが、病院があってもいいと思います。
 
―道路の格差問題について道路基準評価の公表についてー
柏木理佳氏
 投資配分をどうするかという場合、正しく価値が評価されることが前提だと思います。例えば空港の場合、使用量や一人あたりの料金情報が透明化されています。一方、高速道路は利用量だけとか、透明化されていない部分もあるように思います。そこは、病院やフェリー乗り場までの距離だとか、利便性をはかるものを指標に追加しながら情報の透明化を図っていけば分かりやすくなると思います。これまでは、ここの高速道路は利用量が少なかったり、人口が少ないから必要がないという論理だけだったと思うのですが、その中でも事業車と個人の車を分けたりして、一人当たりのサービス料とか、周辺で何に使っているのか、そこを使う必然性がどれくらいあるのか、というものを測る基準をつくって、道路の価値を評価しやすいものにしたらいいと思います。
 
柏木理佳氏
鹿児島の桜島には病院も警察もありませんでした。20年ほど前から24時間フェリー運行サポートをしていますが、他の離島では採算性が悪いため、問題があった時にヘリを飛ばすというやり方になっています。やはり、その地域ごとに道路の価値を評価するような基準をつくって、国民に理解してもらうことが必要だと思います。
 
 
柏木理佳氏
―渋滞対策についてシンガポールのようなことは可能か?―
 朝の通勤時間で新宿から大手町へのルートというように、あるいは恒常的に渋滞する箇所だけは一般道路でも料金をとるとか、定期券を持っている人しか通れないとか、そういう限定的な導入は可能ではないかと思います。