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気になるニュースにフォーカス!「KONICA MINOLTA MORNING VISION」
 
中国の温家宝(おん・かほう)首相は、日曜日に行った記者会見で
アメリカなどから要求が高まっている「人民元の切上げ」について、
「強制的に為替相場を切上げさせることに反対」だと反論しました。
 
今までも度々議論に上がって来た、「人民元の切上げ」ですが、
中国がこれに反発する背景には何があるのでしょうか?
今朝は、中国経済ジャーナリスト、柏木理佳(かしわぎ・りか)さんにお話を伺います。
 
*おはようございます。
 
■    まずは、この「人民元切り上げ」を巡る攻防、現状はどうなっているのでしょうか?
 
・    2005年、中国は、米国などからの圧力を受け、固定相場(ドルペッグ制)から変動相場制=事実上の人民元の切り上げを実施しました。しかし、実際には1ドル=約8.27人民元から約8.11へとたった約2%の切り上げで、海外へのポーズ、表面的なものに過ぎませんでした。
・    2006年は年間で3%以上、2007年は6%以上と切り上がり人民元の価値が上昇していましたが、08年サブプライムローン以降、中国当局は、人民元の上昇を抑制していたのです。これが中国経済成長を維持させ世界で一人勝ちの状態になったたのです。
・     
■実際に、元が切り上げられた場合、日本経済および世界経済にはどの様な影響が現れるのでしょうか?
・日本、アメリカに輸入されてくるmade in chinaの“安い”製品の値段が上がり、中国進出日本企業の工場が日本国内に移転するなどの影響が考えられます。
・    アメリカは貿易赤字が減る、輸出業にとってはプラスかもしれませんが、ドルの価値を自ら下げることになり、将来的に基軸通貨としての地位はますます揺らぐことになると思います。
・    現在、日本経済も中国経済に依存してることもあり、中国経済が低迷すればその悪影響を受けざるを得ないでしょう。
 
■中国がこの「人民元の切上げに」に応じない背景には、何があるのでしょうか?
・人民元が切り上がると、人件費が上がります。中国は安い人件費が魅力です。現在は安い人件費で製造した価格の安い物を輸出している状態ですが、人件費が上がると、製品の質はそのままでも、価格が高くなります。もっと大量に技術力の高い製品を輸出できるようになるまで、時間稼ぎをしている状態です。
・アメリカの景気回復と中国の首相交代任期を考えると、切上げに踏み切るのは3年後くらいと考えられます。
・2月のCPI(消費者物価指数)は2.7%、07年―08年の7-8%に比較すると落ち着いていますが、食品はまだ10%以上もあります。CPI上昇率が預金金利を上回っているため、バブル抑制のため5月頃、利上げをするでしょう。ただ、急激に上げると影響力が大きいので、切り上げたとしても1ドル=3元以下になることはないのではないでしょうか。
 
 
*ありがとうございました。
「KONICA MINOLTA MORNING VISION」、
今朝は、中国が反発をしている「人民元の切上げ」について、
中国経済ジャーナリスト、柏木理佳(かしわぎ・りか)さんにお話を伺いました。