公益財団法人 高速道路調査会
高速道路と自動車
平成25年1月1日発行
私は18歳から豪州・香港・シンガポール・中国に述べ10年近く滞在していましたが、共通点は道路の渋滞です。
1980年代後半豪州滞在中は日本と同じ右ハンドルで、道路の幅は広く信号も少なくシンプルな道路が多く初心者の私でも走りやすかったのを覚えていますが。しかし、市内から1時間ほど走ると「カンガルーに注意」という黄色の表札に遭遇します。そして本当にカンガルーが飛び出してくるから驚きます。高速道路でお金を払った記憶があまりありませんが、それは一部の高速道路を除き、ほとんど無料だからです。有料でもオーストラリア1ドルから2ドルほどと安いのです。車の駐車においては住んでいたパース市内ではだいたいどこも道路に無料で駐車できますが、学生だった私は繁華街では路上駐車スペースにパーキングメーターがあり、1時間1ドル余りのオーストラリアドルほど払っていました。でも、駐車違反やシートベルト、未成年の運転などの取り締まりは厳しく、知人も何度もワイパーの間に挟まれた駐禁の罰金の請求にあっていました。朝は渋滞に巻き込まれましたが、海のような広大なスワン川などが見渡せ、さほどストレスに感じたことがありません。
広い国土での渋滞といえば中国で体験しました。道路は広いのに車の普及が急激に増えているため、今でも1日で3回は交通事故に遭遇します。人口の多さと比例して自動車事故の死亡率も世界一です。道路も建物も幅広く人口が多い中国ですが、日本と違うのは道路が上で人はその下を歩きます。つまり日本では歩道橋があり、橋の上は人が歩き、その下が道路になっているのが一般的ですが、中国の繁華街などでは、道路が1階、もしくは2階の高さに盛り上げて作られており、人は地下道を通るつくりになっています。私が北京に住んでいた1990年代後半は、繁華街から1本中に入った道路はガタガタでまるで砂利道を走っているかのようで乗車しているだけで腰が痛くなるほどでした。ところが、1988年初めての高速道路を建設してから、急激に進みすでに総距離で2万キロ近くにおよび世界2位の道路網です。「五縦七横」(南北に走る回廊5本、東西に走る回廊7本)を含み、距離が3万5000キロに達する省にまたがる高速道路システムを建設することを計画している。連結する都市の総数を200以上に増やし、6億人の流動を可能にする予定だそうです。
日本と同じ狭い国・狭い入り組んだ道路での渋滞は、香港とシンガポールで経験しました。特に香港では、そのせいでしょうか。タクシーの運転手が渋滞の中をすり抜けて飛ばして走ります。車が転倒しそうになってもおかまいなしです。香港はまだ新しい空港はできてない1991年、九龍島に住んでいたせいか、古い道路に古い建物、古いタクシーも多く、渋滞対策はタクシーの運転手の運転方法以外思い出せません。香港ではちょうど中国への返還前だったこともあり、日本の高度成長時代のような、生きていることへのパワーや勢いを感じました
一方、シンガポールは、対照的で、新しい道路で新しい技術が生活にどんどん入り込まれていくといった印象がありました。シンガポールではごみ一つ落ちていないまるで優等生が暮らすような感じをうけました。
1995年からシンガポールに滞在中は、朝、会社に通勤する時に車を利用していました。国土の約12%を道路が占め東京23区と同じ面積だというのに、香港や東京に比べそこまで渋滞ではありません。その理由はERC(日本のETCにあたる)の普及でした。当時はまだ日本でETCが開始されていないときでした。シンガポールのERP車両搭載率は100%です。そのシステムは通勤ラッシュの時間帯に都心のビジネス街に入る車のみ通行料を支払わなければならなりません。東京でいえば朝、通勤のため大手町や日本橋などの場所に入る車だけを対象にしているのです。日本と同じように情報システムにより区間がわかるようになっており、電子マネーシステムが自動的に引き落とします。料金は、場所、時間帯、週末か平日かなどによって違いますが、約50セントから2ドル50セントほどです。日本円で31円から157円ですが、シンガポールの平均年収が160万円ほど考えるとけっして安くはありません。そしてその料金は3カ月ごとに見直されているため渋滞がひどくなると高くなり解消されると値下げされるシステムでやや面倒だったことを覚えています。
シンガポール政府は何事にも徹底しています。ごみを捨てると罰金や清掃の義務が生じ、トイレの水を流さないと罰金です。日本人がたちションしたら地元新聞に大きく掲載されたこともあります。渋滞対策においても徹底していました。渋滞規制の厳しいシンガポールでは政府が管理しているため、自動車は簡単に購入することができません。新規登録するための車両購入権を購入して初めて購入できます。急に購入者が増えて渋滞にならないように、政府が毎年新規登録可能な車両台数を決めており、その車両購入権は入札により決まりますが、バブル時は税金など含めると100万円以上かかるときもありました。
また、ERPに関しては100%の普及率にするため、自動車を購入する場合には、ETC装置器を購入し登録手続きを行わなければなりませんが、政府の補助金もでます。また、レンタカーを借りてもETC装置器もレンタルされるなどです。
ITとはかけ離れていますが、実はそれまで主にステッカーで渋滞対策をしていました。私も毎月、コンビニなどでステッカーを購入し車に張っていました。朝や夕方の通勤ラッシュ時間帯に中央ビジネス地区の道路を走るときは、入域許可証制度というステッカーを購入し、フロントガラスに張って入らなければなりません。ちゃんとステッカーが貼られているのかどうかは道路入り口などに設置された監視カメラでチェックしているのです。スピード出しすぎ、シートベルトしていないと以上に厳しくチェックされているようでした。
それがERPが普及する頃にはGPSによりバス停の掲示板に到着予定時間などを表示するバスロケーションシステムTISや電子マネーでMRT地下鉄やバスも利用可能だし、買い物はデビットカード、オフィスでのIT技術、高機能な携帯電話まで日本よりも格段進んでいました。
乗車中の窓から見える景色や渋滞対策、道路の違いだけでも各国さまざまな事情があり、思い出があります。日本は自動車生産国ですが、便利なようで不便なところもあるでしょう。特にタクシーでの渋滞はイライラ、解消方法がみつかりません。