凛RIN 2014年6月15日発行 
経済第5回 増税と減税
「消費税以外にも増えた税の数々」 
生活経済ジャーナリスト 柏木理佳 http://www.kashiwagirika.com
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4月から消費税が5%から8%に増税されました。消費税だけで世帯平均で8・5万円の支出が増えました。家計が苦しく感じていると思います。
実は、変わったのは消費税だけではありません。
何が増税で何が減税になったのかをよく確認して、賢く節約をする必要があります。
例えば、4月からは病院でかかる患者負担が増えました。初診料は2700円から2820円に、再診は690円から720円に上がりました。高齢者医療の自己負担率も引き上げられ、窓口負担が1割から2割になります。
また、環境税として、石油1リットルあたり250円から500円に増税され、ゴルフ会員権、リゾート会員権の売却損失は所得控除の対象外になりました。太陽光発電(非住宅)による買い取り価格は38円が37円に減少。ガソリン代を節約するために自動車通勤を減らすなどの対策が必要ですね。
また、年金などにも変化が。4月からは国民年金保険料が月1万5040円から1万5250円に、介護保険料は月4966円が5273円に引き上げられました。厚生年金保険料は9月から引き上げられます。
6月からは、個人住民税の一律にかかる均等割りが東京などでは年1000円上がります。
さらに、公的年金の支給額が4月分(受け取りは6月)から0.7%引き下げられます。国民年金では満額の月6万4875円が6万4400円になり、厚生年金の夫婦2人の標準的な例で月22万8591円が22万6925円に減少します。年金をベースに家賃などの支出を決めている方は、その分を減らさなければなりません。
 また、年収910万円以上の高所得者層は高校授業料無償化の対象から外されます。
ただ、むやみに節約してもかえって高くつくこともあります。例えば、少しくらいの風なら病院にいかずに薬局の薬を購入してすませる人もいるでしょう。でも、その薬があわずに、また違う薬を購入し、風邪が長引いてしまうことも。結局、病院に行かなければならなくなり、最初から病院に行くよりも数倍もお金がかかることもあります。何を節約するかを見極めることが大事です。
減税されるものや助成を理解して利用する
しかし、いちがいに増税だけかというとそうではありません。日本経済の将来を左右する個人消費の代表的な住宅や車の大きな買い物については、減税です。
住宅ローン減税制度では、これまで年最大20万円が10年間控除だったのが、年最大40万円が10年となりました。自動車取得税は、普通自動車5%が3%に、軽自動車3%が2%となりました。ちょうどタイミング良く車や家の購入を考えていた方にはプラスでしょう。
子育て世帯にも配慮しています。育児休業の補償割合は休業開始から6ヶ月は50%だったのが67%になりました。また、子育て世帯を対象には、臨時特例給付金として今年1回だけ児童1人につき1万円を支給することになりました。
こういった子供への手当や給付金を増税負担の穴埋めにしましょう。また、消費税増税による消費者への影響をおさえるために、家電製品やドラッグストア、スーパー・コンビニではポイントカードの特典を増やしています。新聞の折り込みチラシにクーポン券を付ける小売店や飲食店も増加中です。これらを利用すると年間で数万円は得します。
また、10月からは教育訓練給付金が受講費用の2割(上限10万円)だったのが、4割(上限を48万円)を設ける予定で、資格取得や習い事を始めるには今がチャンスです。
このように増税・減税、助成される内容をよく考えて対策をとりましょう。