8月8日の北京五輪まであと少し。私は柔道やバレーボールなどを観戦するが、五輪を迎える北京の準備態勢はまったく整っているとはいえない。
テロ警戒に重点を置いているからなのか、警察が大量に動員されてはいるが、その取締りの加減は担当警察官しだい。法治国家でない共産主義の中国では、たとえトラブルにあっても、交渉しだいで結果は違ってくる。
日本でも、夏は水を長期間使わない空き室のマンションなどでは配管の臭いが気になるが、北京の三星ホテルも同じだ。ホテルのレストランのトイレは、直前になったからといって汚水処理が急によくなりはしなかった。
自動車の乗り入れナンバー規制にしても、開催直前に施行されたため、代替交通機関となった地下鉄は大混乱している。私の利用する日本の旅行会社によると「ホテルから会場まではタクシーがなかなかひろえないから、地下鉄を利用するか、ホテルのシャトルバスとなるが、まだそのシャトルバスの運行スケジュールが決まっていない」という。さらに、競技会場近くの駅も、完全に出来上がっていないのだという。
今年、中国は世界からさんざんたたかれ続けた。だからなのか、警戒のあまり、規制する方にばかり気をとられている。外国人用ビジネスセンターのインターネット接続にも規制が強化されたが、それが公になり苦情が殺到したというエピソードも。4年も前から、この日のために海外からの観光客受け入れに力を入れ動いてきたとは思えない状態だ。
■ 空室が目立つホテルでは激しく値引きを始めた
ホテルの値段設定もお粗末である。日本の旅行会社を通して3月に予約したホテルは1泊8万円もしたというのに、そのホテルのサイトを調べてみると、現在は1-3万円まで値下がりしている。
思惑が外れ空室が目立つ北京市のホテルでは、さんざん値段を吊り上げておいて、今度はバナナをたたき売るように3-4割も値段を下げだした。通常、どの国でも五輪の開幕式が近づけば近づくほど値段は上がり、高いところは20万円くらいまで値上がりするというのに、普段は面子を気にする中国が値下げを始めたのだ。もっとも、すでに予約していた客にそのディスカウント分が返却されるわけではない。これでは観光客の気持ちはつかめない。
韓国のテレビ局SBSが北京五輪の開会式リハーサルの映像を無断で放送した。中国政府は、一時は韓国人選手を試合に出さないというほど激怒していた。
国際レコード産業連盟によると、中国で配信されている全音楽ファイルのうち99%以上が著作権を侵害されているという。JETROによると、中国で模倣品・海賊版の被害、売上損失が1億円以上としている企業は全体の約3割としている。もしや、中国がこれまで著作権侵害を放置していたことが、リハーサルの映像無断放送につながったのではあるまいか。五輪が始まったら、こんなことがなければいいが。