地震が恐いおやじ
「地震は恐い。すべてを失う」と、1030万円をドブに捨てることになっても、わざわざ免震マンシンに買い替えたのは、放送関連会社の高田正さん(50歳)。
マンションには苦い思い出があるようだ。
「『自由な空間が欲しい』」と新妻にせがまれた35歳、いわれるがまま千葉市花見川区の築4年の2LDKマンション2290万円を購入した。それなのに、数ヵ月後、姑と喧嘩、妻は出て行った」
と、悲しそうに離婚した当時を振り返る。
それ以来、性格が、心配性で神経質に変わったそうだ。
そして、95年の阪神大震災が心配性の岡本さんの心をさらに動揺させた。
「地震により柱や壁などの主要構造が部分的に壊れても少ししか保険が払われない。損害金額が建物の時価の3%から20%の場合、建物の地震保険金額の5%(時価の5%が限度)のみ払われる。だから地震保険に加入したからといって安心できない。免震マンションでなければ意味がない」
と、元妻が決めた広いマンションに住み続けていることを悔やみだした。地震による被害と全てを失った阪神大震災の姿が自分の姿と重なったらしい。
4年後、探し当てた千葉市稲毛区の免震マンションの購入を決意。すでに2290万円で購入した住処は1260万円に価値が下がっていた。1030万円も損した。
免震マンション3850万円のために、高金利だからと必死に貯めた郵便貯金の2100万も使った。
不足金は住宅ローンを組んだが、今はもう残っていない。
しかし、年収1300万円の高田さんの心配性がなくなったわけではない。地震災害用の貯水用の水をペットボトルに20本、毎日入れ替えて備えている。
万が一のために万全の準備も大事だが、パートナーをみつけ新しい人生を始めて欲しいと思う。
こづかい
細い高田さんの目が微妙に輝いたのを見逃さなかった。レコードの話をするときだ。
「15年前、『ミスティー・山本剛』のオリジナル盤をジャズ中古専門店で100円で買った。それが3500円以上で売っているよ。『ページ1・ジョージ大塚トリオ』オリジナル盤は、1000円で購入したのがプレミアムがついて今では2万円もする」
女とマンションには運が味方してくれなかったけど、レコードは購入時より値が上がっているそうだ。
独身だから月8万円のこづかい、買い物はもっぱらプレミアム商品が中心。
定年後、退職金1500万円がなくなったら、プレミアム商品を少しずつ売りながら生活するのが楽しみだそうだ。
プレミアム大好き高田さんのこずかい帳

     
月額                     8万円
  中古レコード 2000円
Yシャツ等クリーニング代(集配) 200円X25枚=5000円
  ランチ代 1200円X25日=3万円
スイングジャーナル(ジャズ月刊誌) 1100円
  飲み代 6000円X5回=3万円
  東京倶楽部(ジャズクラブ) 7370円
  使途不明金 5000円
  小計 8万470円
▲470円