中国のスポーツ事情⑤
 アンバランスな広告

 つい先日、北京に行くのに中国国際航空を利用しました。
 日本の航空会社ではあまり見かけませんが、乗客用のテーブルの上にシールが貼ってあるのです、
 よくみると、総合家電メーカーのGEの広告です。蛍光灯をバトン代わりにしたて、マラソン選手が手渡しています。そしてその横に北京オリンピックのロゴマークがあります。
 北京オリンピックに向けて急速に活発な広告活動が繰り広げられています。
 オリンピック開催にともなう収入は約16億米ドルといわれていますが、その内訳は「テレビ放映権」が全体の約4割、「五輪宝くじ」が約1割、「入場料」が9%、ロゴ使用権が8%となっています。
 100店舗ほどの店がずらりと並んでいる北京市の最大の繁華街王府井の途中にあるデパートのの一階では、今まで見かけなかった北京五輪委員会が運営している「BEIJING2008OFFICIAL LICENSED PRODUCTS」が出店しています。
 「オリンピック開催が近づくとニセモノのロゴマークが多く出回るだろう。だけどロゴマークがついた商品は政府直轄の認可されたこの店だけで販売できるんだ。俺は他のテナントの販売員とは違う。政府直轄の人なんだよ」
 共産主義プライドを持って店長が話しています。
 Tシャツは約250元(約3500円)で月収の5分の1と高額です。それでもロゴ入りマークの商品を地方からきた中国人たちが珍しそうにが眺めていました。
 中国企業の代表的なスポンサーには中国石油天然気、中国石油化工、ハイアールや青島ビール、乳業大手の内モンゴル伊利実業集団などが名乗りをあげていますが、街角ではどうみても洗練されているとはいえない広告をみかけました。
 例えば、北京の繁華街、王府丼の玄関の北京大飯店のコーナーでは、車を持っていることはステイタスといわんばかりに「東南汽車」の車が展示されていて、その横のポスターには「東南汽車」という大きな文字の横に、バレーボール選手が赤色のジャージ姿でボールを持って立っています。そのポスターの横には1メートル以上の大きなバレーボールがただおいてあるのです。バレーボールのPRなのか車のPRなのか首をかしげたくなります。
 このようなちょっと噴出してしまいたくなるアンバランスな広告は、地下鉄のプラットフォームでも中華レストランでもいたるところでみられました。
 東京オリンピックの前の日本もコマーシャルは今みたいに洗練されたものではなかったかもしれません。
 中国の広告代理店の技術やデザインなどもこれからマーケットとともに成熟していくのでしょう。
 あまりに急激に変り行く中国経済、人々は豊かになっている生活を望んでいながらも、古い中国の良さが置き去りにされていると寂しさも感じています。
 経済の成長に追いつけないアンバランスな中国人の心と同じように、現在の中国の広告も未熟でアンバランスに象徴されているようでした。