次の総理大臣に期待
少子化対策はシンガポールを見習え!
 私がシンガポールに住んでいたとき、驚いたことが2 つあります。
 1.女性のほうが昇進が早いこと
 2.子どもは両親にあずけ、週末しか子どもと会わない人がいること
 話を聞いてみると、1.は当然のことでした。男性は2年間の徴兵制度があります。会社にもどってみると、自分よりも同期の女性が上司になっていることも多々あるのです。
 2 .は、シンガポールも日本と同様に少子高齢化が大きな問題となっていることが背景にありました。
 「保育所などにあずけるにはお金がかかる。それより祖母に面倒みてもらったほうが効率がいい、週末しか会えないと子どもも両親のありがたさがわかる。その代わり週末だけは子どもとずっとべったりしている。3人目も頑張る。だって132万円も優遇されるのだから」
 32歳、元の会社で一緒だったシンガポール人の知人の女性は、子どもに対してまったく後ろめたさを感じていませんでした。家族の和を大事にするチャイニーズシンガポーリアンは、近くに住む祖母たちにかわいがってもらうことが当然だと思っています。
第3 子には132 万円の優遇
 シンガポール政府の調査によると2005年と2004年のシンガポールの出生率は1.24で、2003年の1.25をわずかに下回りました。
 日本の2005 年の出生率が1.25ですから深刻です。このため、シンガポールはさらに少子化対策に本腰をいれました。それが、2004年8月から政府が3億シンガポールドルをかけ行っている「Baby Bonus 制度」。第2子、第3 子だけに支給していた出産奨励金を、第1子、第4子にも支給する政策を打ち出したのです。そのほかの制度もあわせると、優遇される金額は第1子が3000 シンガポールドル(約22万円)、第2子が最大9000シンガポールドル(約66万円)、第3子と第4子は最大1万8000ドル(約132万円)と増額されました。
 子ども1人育てるのに1000万円の費用がかかるといわれている日本では、子どもを産むこと自体を懸念している人が増えています。すでに子どもがいる家庭でも生活費が大変で2人目、3人目まで産む気になれないといいます。
平均年収が300万円超のシンガポールで130万円以上も優遇するなんて、知人が喜んでいたのもよくわかります。その上、祖母が面倒をみてくれれば安心です。
 日本のように小手先だけの政策でなく、シンガポールの政策を見習うべきでしょう。日本の経済成長の軸になる将来の労働力は、少子化対策にかかっているのですから。