スタジアム効果でスポーツ普及
上海市のサッカーファンが熱狂的なことは世界中に知られていますが、上海市にはサッカー専門のスポーツ新聞「足球報」もあります。1部は1.5元で、毎週3回も発行されています。その新聞には中国の選手だけでなく世界のサッカー選手のことまでことこまかく書かれているから詳しくなるわけです。あちこちの駅前の小さな店で地べたにおかれて販売されていました。
上海市民の過熱ぶりは北京とは大違いです。その理由はサッカー新聞の存在だけでなくスタジアムの経営戦略にもあります。
魯迅公園横に位置する地下鉄明珠線「虹口足球場駅」を降りると、すぐ目の前に立派な建物があります。建設費用は約3億元、政府などが近くの魯迅公園の管理会社とともに管理しているサッカー専用スタジアム「虹口足球場」です。
1999年に完成した最新のスタジアムで、収容人員は2万8000人です。野外コンサート会場としても使用されていますから、スポーツに興味がなかった人でさえ、サッカーのスタジアムを見て興味がそそがれます。また「虹口足球場」はそのまま地下鉄の名前にもなっているため、その駅を通る人は有無をいわずにこのスタジアムの名前を覚えます。
また、わざわざ全国から人の集まる観光スポットの魯迅公園駅の目の前に設置し、広く全国の人にスタジアムの名前を知ってもらうように工夫しています。
このスタジアムは上海申花のホームスタジアムで、サッカー試合のチケットは40元、80元、120元などとわかれています。
しかし、試合がない時期に、このスタジアムが閑散として死んでしまってはいけません。スタジアムにはVIPルームをつくり、権利などを販売しています。また試合時期以外も営業している中華料理店などのレストランもあり、その料理を目当てにくるお客さんもたくさんいます。この勢いやビジネスのやり方は北京市とは大違いです。
加えて、この駅近くにはロッククライミングもあります。夜遅くまで遊べるように10時まで営業しています。1回は40元で、VIP会員は年会費200元です。
サッカーファンのことを足球迷といいます。スタジアムの経営とともにスポーツの普及も広めたい上海市の狙いどおり、足球迷がますます増えそうです。