責任のある仕事をやり遂げることで、自分を成長させられるのです。
嘉悦大学准教授柏木理佳さん

■ 毎日、仕事について考えを巡らす習慣を持つ
高校卒業後、英語を身につけようと留学したオーストラリアで、私は「将来はどんな道に進みたいの?」とかあうたびに尋ねられました。最初は答えに窮していたのですが、質問されることによって、毎日寝る前に5 分、仕事について「これでいいのか?」と自分に問いかけ、考える習慣ができたのです。

帰国後は、貿易会社に勤務した後、客室乗務員に転身し香港で過ごしました。しかし、充実感は得られず、視野を広げるために知人の取材記者と内戦中のカンボジアを訪ねました。そこで見たのは、日本に報道されるのとは違った凄惨な光景。私はマラリアにかかって高熱に苦しみ、同行した記者は命を落としたのです。私は「仕事に命をかける姿」に深く胸を打たれ、「仕事」を強く意識するようになり、「もっと人の役に立ちたい」と思うようになりました。

■ 眠らせてはもったいない自分の可能性
それ以来、関心を持ったことに全力で取り組み、会社設立や経済番組のキャスターなどを経験してきました。そして、キャリアカウンセラーの資格を取り、もっと若いうちから自分に向かい合うキャリア教育うぃ広めたいと大学で講義も持っています。

最近は就職活動に消極的な若者も多く、本当にもったいないなあと思います。覚悟を持って就職するから、責任ある仕事を与えられ、次のステップに進めるのです。新卒者には、ビジネスの常識を教えてくれる研修もあり、社会人としての基礎力も養えます。望めばチャンスがたくさんあり、本気で向かい合えばきっと人間としても成長できます。是非自分にあった仕事を見つけ、可能性を眠らせることなく、自らの世界を広げていってください。(談)

かしわぎ・りか豪州テイラー大学留学、客室乗務員として香港に在住を経て、北京首都師範大学留学。シンガポールにて会社設立に携わる。NHK 契約キャスターやNPO 法人キャリアカウンセラー協会理事を務め、豪州ボンド大学院MBA 取得。2007 年に嘉悦大学助教授に就任。経済やキャリアアップの講演や執筆も多数。著書に『あなたにぴったりの転職につける本』『人生後半からの「好きな仕事」の見つけ方』(どちらもPHP 研究所)など多数。
柏木理佳公式ホームページhttp://www.kashiwagirika.com
来春、新卒者、第2 新卒者のための就職最前線朝日新聞2007 年6 月4 日掲載