教育費 高齢者の武田さん リバースモーゲージ編
K旅行関連会社に勤務していた武田伸彦さん(62歳)は、54歳のときに退職し、長年の夢だった旅行代理店を経営し始めた。
転職組みだったため武田さんの退職金は500万円。すべて店の開店資金のため消えた。年収は現在350万円に激減。サラリーマン時代と比較すると2分の1以下になった。
一生かけて一生懸命貯金した1100万円は、インターナショナルスクールで寮生活をしている高校生とアメリカの大学に留学中の学費に費やされている。
「こんなに会社経営が大変だと知っていたら子どもをアメリカになんかやらなかった。今が一番子どもにカネがかかる時期だというのに。」
夢を追いすぎていたと反省する小太りの武田さん、とうとう評価額5000万円の自宅を担保に、『リバースモーゲージ』を自治体に申し込んだそうだ。その契約によって毎月9万円の融資を受けている。
『リバースモーゲージ』とは自宅を担保にして毎月融資が受けられる制度のことで、本人が死亡したら担保である自宅を売却し借入金を一括返済する制度のことをいう。
これまで自宅の評価額は5000万円条件だったのを、最近は最低評価額が1000万円以上からに変更したところも増えたため中小企業の経営者を中心に利用者が増加している。地方自治体や中央三井住友銀行などで取り扱っている。
「これで何とか子どもを卒業させられるよ。あと3年我慢すればそのうち会社も経営もよくなるだろう」
しかし、リバースモーゲージは、評価額が下がると毎月の融資金額が減る、すべての相続人の同意を得らなければならないなど欠点もある。
なんとかそれまでに会社が持ち直すといいが。
お小遣い クリーニング代のこだわりが汗疹に
パートに出かけている妻の月収は15万円。武田さんは毎月4万5000円のお小遣いでランチ代からクリーニング代(4000円)まで払っている。クリーニング代を払いたくないから、最近はシワになりにくいシャツを選んで自分で洗濯することを覚えた。
「洗濯機でシワになりにくシャツだけ5着まとめて入れる。乾燥前に止めて、たたんで浴槽に干せばシワにならないよ。だけど汗を吸い取りにくいポリエステルだから背中は汗疹だらけだよ」
わざわざ見せようとシャツの首の後ろにやっとのことで手を回した武田さんに、思わず私は目を伏せてしまった。
クールビルやウォームビズも流行っていることだし、カジュアル系のスタイルに代えてみては? もしかしたら印象が変わってお客さんも増えるかも。
武田さんの小遣い帳

月額   3万円
クリーニング代 4000
  ランチ代(コンビニ弁当) 17000
飲み代X4回 8000
  その他使途不明金 1000
  小計 30000
収支   30000