2016年3月8日
TOKYO FM クロノス 追跡
今年の全人代の内容には、2つのポイントがある。
① 「バブル崩壊」②「反政府デモ」、これらを意識した政策をかかげている。
② バブル崩壊:―「不動産の在庫の削減」と「株価や人民元レートの安定」が政策に盛り込まれている。
リーマンショック時の巨額の景気刺激策の後遺症⇒各産業において膨大な在庫をかかえている。
⇒中でもバブル要因である不動産の在庫、つまり空き家が10億平方メートル、1300万世帯にのぼり、
これは、日本の全世帯数の4割に相当する。最低でも5年以上かかるとみられている。
⇒そのため、政府は昨年から住宅購入を促すためローンの頭金を下げるなどをした結果
⇒深せんの直近のマンション価格は(前年比75%上昇するほど高騰し、
現地では政策により逆にバブル懸念する声も聞かれている。
③ 反政府デモ抑制―現在都市部の人口7億人の半数以下しか戸籍がない状況ですが、
「出稼ぎ労働者の1億人を都市部で戸籍を登録できる」制度
(起業をさせ、住宅購入にもつなげ、農民貧困層を脱却させる狙いもあるが、現実的ではない)
→「大型災害保険制度の確立」
⇒これまでの政府への批判をかわそう
<深刻な不況>
現在の中国経済は、人手を必要とするサービス産業だけがけん引しているため、
都市部の有効求人倍率は1、失業率も4%、賃金も毎年1割ずつ上昇、
一見2020年所得を2倍にするという政策の実現は可能だと思われる。
しかし、今年からは、「大型国有企業の倒産ラッシュ」になり失業率は大幅に上回り、悪影響がでると思われる。
国有企業のほとんどが業績悪化し年間4000社が倒産している。
・特に昨年から初めてデフォルトによる国有企業が倒産したが、
今年から来年にかけて社債の償還時期にあたり、償還できない国有企業が増えるため、倒産件数が急増する。
(中央政府管轄の国有企業でみると、10年前200社余りあったのが、現在は100社に減少)
・企業債務が増加しているのは先進国で中国と米国だけ。中国の企業債務額は1900兆円、米国の1300兆円より大きい
⇒米国の3分の2のGDPしかない中国のほうが、企業負債が大きい。
企業債務は中国のGDPの2倍近く。1ヶ月で100兆円規模で増加している時も。
・これまでは地方政府は法人税が必要なため業績悪化している国有企業でも存続させようとしていたが、カバーできなくなった。
・このまま深せんなど都市部の不動産が上がり、住宅ローンの返済できなく自己破綻者が増えると、
銀行融資の不動産向け貸し出し15兆元、個人向け住宅ローン10兆元(174兆円)規模が滞ることに。