中国スポーツ事情③
バスケットボールの星

 『体育世界?球』『?球倶楽部』『BO SPORTS MAGAZINE』『NBA 体育時室』・・
見たこともないほどの数のバスケットボール雑誌が入り口に並んでいます。(参考写真2024)
北京の銀座、王府井の最大の書店、「王府井書店」のさらに奥の文房具売り場に行ってみると、本屋なのにバスケットボールが売られています。
 中国で最も人気がある米メーカーSPALDINGのボールにNBAというのロゴが入っているだけで二百七十元(約三千五百円)。ロゴなしの3倍以上もします。子どもにプレゼントとして楽しそうに選んでいる夫婦の姿が目立ちました。(参考写真2001)
 日本では人気ランキングでバスケットは30位以下ですが、中国では一番人気です。
 数年前までの公園ではバスケットのコートさえ設置されていなかったというのに、最近ではいたるところで設置されたコートにバスケットボール用のTシャツを着てゲームをしている姿をみかけるようになりました。大学でも勉強ばかりしていた学生が放課後バスケットボールに熱中しているのです。(写真3)
 「今は親の月収の4分の1もする米のボール買えない」
 若者たちがスーパーマーケット『カルフール』で、棚に山積みになっている現地メーカー「国冠」(YUANYANG)、「威佳」(VEGA)の八元(約百円)、三十八元(約五百円)からぶつぶついいながら選んでいます。(参考写真0473&0495)
 例え一人一個百円のボールを購入しただけでも、中国のバスケットボール人口の三億人が買えば三百億円規模です。日本のバスケットボール人口はたった五百三十万人です。その差は一目瞭然です。
 ブームに火をつけたのは、アメリカのNBAで活躍している姚明選手の活躍があります。
 2メートル26センチの長身の姚明選手は、恋人の女子バスケットボール選手のF、イエ・リーとの恋話まで、まるでアイドル並の扱いでファッション雑誌にまで取材されています。
 それもそのはず、アメリカの経済誌「フォーブス」の中国スポーツ選手所得ランキングでは、二千万ドルで1位。広告収入も他の中国のスポーツ選手を圧倒的に引き離した八千万ドルを稼いでいます。
 憧れの姚明選手の後を追って、モンゴルからは2メートル33センチのサンミンミン選手が挑戦しましたがNBA入団できませんでした。
 84年生まれの2メートル13センチ、100キロ、センターフォワードの唐正東(パンチョントン)選手や吉林省出身、2メートル8センチ、2001年世界大会で準優勝した莫科(モウカ)選手などの活躍が続いています。
 北京五輪で金賞が期待されている男子バスケットボール。
 「中国人は欧米にコンプレックスがある。でも頑張れば僕たちも世界でも通用できる。バスケの選手が証明している」
 バスケット人気はこういった若者たちの気持ちも刺激したのでしょう。