シェア少ない中国漢方薬のナゾ
中国人は漢方薬が大好き。
「風邪ひいた」「おなかが痛い」時など、すぐ服用するのは漢方です。中国でSARS(新型肺炎)騒いでいた時にこれに効くと、「板藍根」という薬が売れに売れたところは記憶に新しいところです。
もともと「漢方薬」は、江戸時代、オランダからきた薬を「蘭方」と呼んだことに対し、中国(漢)から来た治療や処方をさしたものです。
陰と陽に分ける考え方と「木・火・土・金・水」の5つの関係から吉と凶を見分ける5行節を組み合わせた思想体系「陰陽5行節」を背景に、総合的に体系をみています。鍼灸や気功療法、薬膳料理などもその中医学の一つです。
西洋薬より副作用が少ないという意見もありますが、すべてが安全で副作用がないわけではありません。使い方を間違えるとなんでも毒にもなります。
かくいう私も漢方の愛好者で、香港在住中には毎日のようにカメゼリーと蛇のスープを食べ、そして腰痛には針灸をしていました。
さらに10種類以上混ぜたお茶。にんにくとしょうがを必ず料理に入れて食べていたこともあり便秘もなく快適な体調でした。
だから中国の漢方薬は世界のシェアを牛耳っているのかと思えば、実は中国の医薬品は世界市場のわずか1%しか占めていません。
漢方薬の世界シェアは実は、9割が日本企業が牛耳っているのです。
研究開発では、中国は世界水準に15年から20年遅れている現状なのだそうです。(中国ブランド戦略研究センターの梁世和副主任)
なぜ漢方薬の国際的な進出を妨げているのか?
その原因と思われる点がいくつかあります。
①中国では、ほとんどの漢方薬が薬品として認定されないまま食品や栄養剤として売られていること
②製法が伝統的に特殊なもので処方する医者への情報公開が不透明
③工業製品の格差
国家発改委員会の資料では中国の病院で使われている抗生物質などのほどんどの薬は欧米に特許を押さえられています。
自主特許製品を開発・研究するまでの時間とコストは膨大にかかります。
中国ならではの漢方薬ですが、漢方薬企業にとっては、まだまだ未熟だといえますね。