私の行くところに事件あり
 今まで私がフライトを終え帰国し、次の日になると、そのフライトした国で、世界を揺るがすような、トップニュースになるほどの大事件が起こることがたびたびありました。インドネシアの暴動、韓国、カンボジアなど……。
 2001年の9.11同時多発テロが起こる3か月前の6月にはニューヨークにいました。昼間なら女性一人でも歩ける街になったとはいえ、それでもセントラル駅近くの裏通りは物騒でスリが多く、道端に横になりながらカモをまっているかのような恐い人たちがうろちょろしていて、いつも後ろを振り返りながら緊張して歩いていたのを覚えています。
 いい思い出のないニューヨーク
 ジャズで有名なブルーノートで、キャリア官僚で当時ニューヨーク滞在中の元彼とラブラブで手をつないで列に並んでいると、ずらずらと駐在員風の日本人たちがあちこちから列の後ろに並び始めました。どうやら私たちは30分も早く着きすぎたようです。
 肌寒さの中、疲れもたまってきました。待つのは苦手です。いつも竹を割ったような性格の私は、ここに着くまでの彼のあまりの下手な英語に「それでも会社から費用出してもらって留学してたの?ここでの生活はそれで本当に大丈夫?」と口がすべってしまったから大変なことに。「僕のほうが君より頭がいいだろ!官僚にだって試験を受けなきゃ通らない。英語は会社が留学させたからよくできないけど、僕は君のように勉強せずに会話だけやっている、のん気な学生をする時間がなかったんだよ」といきなり大声で怒鳴られる始末。負けず嫌いな私も「なにいっているの。寂しいから来てくれって、チケット送ってくれたから、忙しいのに遊びに来てあげたんでしょ。そんな英語で大丈夫っていっているの?」とタカビーに続けると、「官僚なんだね~」と、ざわざわ周りの日本人たちが集まってきました。
 いつもならすぐに腹が立ってその場から去る私ですが、もう夜の10時、あたりは真っ暗で治安もよくない。ひたすら我慢することにしました。だからせっかくのブルーノートでのジャズも楽しめませんでした。それから安っぽいのに一泊3万円近くもするホテルにチェックインすると、彼が土下座して謝ってきました。まあ、いずれにしても私にとってニューヨークの思い出にはいいものがありません。
進むアメリカの中央集権化
 その後、9.11同時多発テロ事件が起こり、約1050億ドルの被害額に思い出もぶっ飛んでしまいました。アフガニスタン侵攻やイラク戦争によってアメリカ全体の経済のGDP は3%以上に回復しているものの、ニューヨーク市ではその効果が薄くなかなか回復しきれていません。こういったところにもアメリカの中央集権化は現れているようです。