中国人の転職方法
 「中国人は雇用して、いろいろ教えてもすぐに転職するから困った」という話を中国在中の日本企業の人からよく聞かれます。私も転職回数は多いほうなので、人のことはいえませんが、外国では転職はキャリアアップのすべとしてプラスにとられているようですね。でも、中国の場合はちょっと違うようです。
 過去1年以内に退職したのべ95万人のデータを参考上海市就業促進センターの調べによると、上海市の労働者は平均で4年に1回のペースで転職していることがわかりました。
 2005年における平均勤続年数は、前年に比べると、さらに9.2カ月短くなって4年余り(46.4カ月)となっています。
 大学卒業者は21.1カ月、大学院修了者が22.8カ月、大専卒者が30.5カ月、中学・高等学校卒者が53.1カ月と、学歴が高いほど早く辞める傾向があります。
 また、30歳以下では平均で、1年と六ヶ月あまりで転職しているといった現状になっています。
 若い高学歴の新卒の採用において、そもそも会社で育ててずっと長く勤めて欲しいと考えるほうが間違っているのかもしれません。
 解放日報では「高学歴層は、自分の価値を確かめるために、転職をいとわない」などと説明していますが、その実態はそうでもないようです。
 高い給料を払ってくれる会社をみつけたら条件のいい会社にすぐに転職します。自分の能力アップやキャリアアップそのものよりも、目先のことにこだわる中国人の性質は、政策がコロコロ変わる中国の政府の国の問題でもあるのです。一人っ子政策により新卒採用の若者の忍耐力はさらに低下するでしょう。少子化が進んでいる中国では労働力が低下し、高レベルの技術者の獲得が難しくなるでしょう。
 そもそも、中国では技術者においても優秀な学生が多く生み出されているものの、インドやアメリカに比較するとまだ教育機関が未発達です。中国では日本の中学校と高等学校を合わせて「中学校」といい、「初級中学」は日本の中学校、「高級中学」は日本の高等学校のことをいいます。「初中」「高中」と略されることもあるようです。「中専」は「中等専業学校」の略で、中卒または高卒者を対象とした2年制の教育機関のことをいいます。日本の4年制大学に相当するのは「大学本科」。大学院は「研究生院」といい、前期課程と後期課程で取得できる学位はそれぞれ「碩士」「博士」です。
 高学歴が進む中で試験用の勉強を熱心にする中国人学生に欠けているのはキャリアデザインの知識、政府の政策かもしれませんね。

紀伊国屋新宿本店「人生後半からの好きな仕事の見つけ方」PHP 研究所刊行記念
2007年1月16日火曜日18:30分から柏木理佳講演