夜遅くに腰痛でマッサージに行きました。保険のきく整骨院が開いていなかったのです。料金は5000円。時給1000円なら5時間働いたのと同じです。働かなければ腰痛にもならなかった、働いた意味がない、という気分でした。お金がたまらないけど働き続けるか、稼ぎもせず使いもせず欲求も持たずに生きるか。最近の日本はこんな働き方しかできないように思えてなりません。
外国と比べると日本の最低賃金が低いことがわかります。平均賃金に対する割合でみると日本は28%とOECD(経済協力開発機構)諸国でメキシコ、韓国、トルコを除けば最低レベルで、先進国では最低レベル、欧州に比較すると半分程度です。
最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。それぞれ最新の金額は厚生労働省のホームページに掲載されているので、よく確認してください。
すでに日本では年収200万円以下の人が5人に1人を占めています。今後賃上げしても物価高には追い付きません。特に地方ではお金がたまっていたけど、上京したらいくら働いてもたまらなくなり「仕事=むなしい気分」になる人もいるかもしれません。
だったら私は地方に住むことをおすすめします。仕事に虚脱感を抱く知人にこんなことを言うと、知人は「冷たい。負けた気がする」と言いました。でも仕事の内容も嫌い、お金もたまらない都市部より、ゆとりのある生活をして他人にも自分にも優しくなれる方が人間らしくなれます。
そこまでしなくても、会社の中の派閥やライバル同士の競争だけにとらわれて、目の前のことに勝つことだけにこだわるよりも、いったん負けてみてはどうでしょうか。それが回り回って将来の勝利につながるのかもしれません。夏休みは無理してでもとって、客観的に会社と自分の立ち位置を考えてみてくださいね。
(生活経済ジャーナリスト・嘉悦大学短期大学部准教授